十二守護星LEO
□【22】サイバーカノン
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柔らかな風にヒラヒラ靡くマント。
長さや量、色の変わった頭髪。
そして、右の肩からのびる模様と、手の甲に埋め込まれた星座のマークが書かれた石。
普段のレオ達からは想像もつかないような姿を目にして、遼子は固まってしまった。
レオ達が変身した姿を確認したカノンはニヤリと口の端を上げると、両腕を前に出してその手で思い切り光る鍵盤を叩きつけた。
カノンの両手が鍵盤に届く前に攻撃を避けようとしたレオ達だったが、思わぬ攻撃方法に思わずその足を止めてしまう。
「!?」
なんと、カノンの攻撃は精神に直接響くものだった。
それもジワジワ来るものではなく、内側から強烈に来るものだった。
「がっ!?」
「うっ!!」
カノンが鍵盤を叩く度、鈍痛を伴う鋭い重低音がレオ達守護星を内側から精神攻撃していく。
その度に、レオ達は地に転げたり頭を抱えたりしている。
「酷い音…!神経だけじゃなく、内蔵まで抉られる!!」
「くっ…、くそぉっ……!」
頭を抱えながらミユが言うと、レオは額に冷や汗を滲ませながら歯を食い縛った。
なっ、何!?
何なのこの音…!?
頭が痛くなる!
でも…
遼子は頭を抱えながら、レオ達を見た。
レオ達はもっと苦しそう…
あたしは少し重い頭痛で済んでるけど、レオ達のあの苦しみ様は、まさに“悶え苦しむ”って言葉がピッタリなくらい……
遼子の思ってる通り、カノンの攻撃は普通の人間には頭痛程度の害で済むのだが、守護星にはその倍の苦しみを与えるのだ。
苦しむレオ達の姿を見て、メデューサは面白可笑しそうに笑い出した。
「きゃはははは!!おっもしろ〜い!見てて物凄く爽快だわ。もはやあなた達守護星は“サイバーカノン”の強力な精神攻撃に手も足も出ないのよ!もっとやっちゃえ〜!」
“サイバーカノン”、どうやらそれはティム・カノンの変身した姿のことを言うらしかった。
すると、カノンは怪しく微笑を浮かべたまま、今度は何やら鍵盤の上に浮かぶ光る板のようなものに軽く数回触れた。
どうやらその板は、シンセサイザーでいう“つまみ”にあたる部分らしく、音色や速さの調整ができるのだ。
なんとカノンはその板でBPM(速さ)を120にし、シンセドラムをもう一つ増やし、さらにエコーを最大に効かせた。
それでも普通の人が聴けば“ちょっと速いハードトランス”なのに、レオ達守護星が聴くと、ただの不協和音にしかならなかった。
カノンは板で音色や速さを変えた後、ニヤリと口の端を上げると、なんと遼子目掛けて精神攻撃をしかけてきた。
「!!」
それに気付いたミユは苦痛に顔を歪めながらも、ふらつく足取りで遼子の元へと駆けていった。
「遼子!!」