十二守護星LEO

□【22】サイバーカノン
5ページ/6ページ

戦いが終わったときには、空はすっかり暗くなっていた。

その時、ミユが申し訳なさそうに遼子に言った。




「…信じられないかもしれないけど、あたし達は全能の神“ゼウス”に力を与えられて、生身の体がこの石の力でそのまま姿を変えるように出来てしまったのよ。」

そう言って右手の甲に埋め込まれている石を、遼子に見せるミユ。
その石には各星座のマークの一つ、おとめ座のマークが書かれていた。




「もう隠す必要もないから話すけど、当然遼子もここ最近ずっと続く皆既日食を変だと思ったでしょう?」

「うん…」

「この皆既日食はね、宇宙の支配者“ナイトメア”という人物が引き起こした現象なのよ。だから、ゼウスに戦士として選ばれたあたし達がナイトメアを倒さない限り、この皆既日食はずっと続く。」

ミユはさらに続ける。

「それだけならまだいいけど、ナイトメアはあたし達の住む地球を壊してしまうかもしれない。今はまだナイトメアは復活してないけど、やつが復活したらきっとあたし達はこの地球ごと消されてしまう。そうなる前にナイトメアを倒すため、あたし達12守護星がいるのよ。」

「それじゃあ、ミユ達も元々は普通の人間だったっていうこと…?」




遼子の質問に、ミユは頷いた。




「ごめんね遼子、今までずっと黙ってて…。それにあたし達の戦いに巻き込んじゃって…こんなつもりじゃなかったの。」




申し訳なさそうに俯くミユを見て、遼子は眉をハの字にして微笑むと、そんなミユに近付き彼女の背中を思い切り力強く叩いた。




「げほぁっ!?」

「バーカ。そんな辛気くさい顔しないでよ!確かに最初はちょっとビックリしたし、よくわかんないあのSFサングラスに襲われそうになって怖かったけど…でも、地球を守るために戦う選ばれた戦士ってなんかかっこいいじゃん!」

「遼子…」

「それにあたし見直しちゃった。普段学校では眠そうな顔して授業に出たり出なかったりしてるレオが、こういう時“だけ”妙にかっこいいんだもんね!」

「…うるせぇよ。」




遼子の言葉に、レオの表情がひきつる。
ふと、さっきまで笑顔を見せていた遼子だったが、少し寂しそうな顔をして言った。




「でもね、不安なんだ。まるで皆があたしとは住む世界の違う人間になってる気がして…。そのうちミユもレオも硬太くんも馬佳部先生も、どこか遠くへ言っちゃうんじゃないかとか、そのまま遠くへ行ったまま帰って来ないんじゃないかとか、いろいろ考え出したら不安で仕方なくて……」




と、その時、レオが遼子の両頬をギュ〜っと引っ張った。




「ででででで!!」




涙目になりながら痛みを訴える遼子の表情を見て、彼女の両頬から両手を離すとレオは言った。




「お前まで辛気くせぇ顔してんじゃねぇよ。心配しなくても俺達は俺達、遼子の仲間だ。それに万が一俺達がどこか遠くへ行ったとしても、必ず戻ってくる。」



レオの言葉に、ミユと硬太と早矢も頷いた。

遼子は泣きそうな表情をしながらも笑顔になった。




「みんな…」




そして遼子は、満面の笑みで言った。




「ありがとう。レオ、ミユ、硬太くん、馬佳部先生、絶対…絶対にこの地球を救ってね。」

「ええ、もちろん。約束する。」




そう言って遼子とミユは、指切りをした。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ