12星座達の日常
□海水の覚醒-Himeko Takami-
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と、その時
「!」
近くで何かとてつもなく大きな殺気を感じ取り、姫子は勢いよく後ろを振り返った。
「……………。」
そこには浜辺に膝を抱えて座り、独り海を眺める男がいた。
またあの人だ…
姫子一人だけなのかと思えば、最近頻繁にこの男がこうやって浜辺に座っていることがあるのだ。
ただの不審者ならまだ通報できるが、そうではないオーラをこの男から感じるのだ。
男は痩せ細っていて、疲れている様子だ。
恐らく、社会の中で何かあったのだろう。
あまり近寄らないほうがいいと判断した姫子は、見て見ぬフリをしてその場を早足で去ろうとした。
と、その時!
ザリッ
「!?」
背後で砂の音がして、姫子は慌てて後ろを振り向く。
男が立ち上がって動き出したのだ。
後ろを振り返った体制のまま、姫子は視線を男に集中させた。
男が今から何をするのか慎重に注視する。
「……!」
よく見ると、その男の首には赤く光る傷痕のようなものが浮かんでいた。
と、次の瞬間、男の行動に姫子は驚いて目を見開いた。