十二守護星LEO
□【11】CHEK-MAIT
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―アメリカ、ニューヨーク。
今、ここでは謎の病が大流行している。
それは、発作や過呼吸などによる極めて危険な病だった。
「誰か!誰かいないの!?お医者様は!?主人が大変なの!助けて!!」
「ママー!ママー!苦しいよー!!」
女性の助けを呼ぶ声に子供の泣き叫ぶ声。
四方八方で聞こえてくる人々の助けを求める声が耳に入っているにも関わらず、ニューヨークの医者達は「原因がわからない。」「治せない。」などと言い切り見て見ぬふりをしていた。
そんな中、スラム街で力なく転がる人々を尻目に一人の男性が歩いて来た。
「!」
それに気づいたその中の一人の女性が、彼の左足首を力強く掴み助けを求めた。
「Help me!」
しかし、彼はそんな女性を冷たい眼差しで見下ろす。
「……………。」
すると、そんな彼の形相に女性は驚いて目を見開いた。
そう、彼の顔半分から腹部にかけて包帯が巻かれていたのだ。
「……俺に何か用か?」
彼は静かに口を開いてそう言った。
だが、金属でできた大きめの鞄を持っていることから、彼が医者だと判断した女性はめげなかった。
「助けて!貴方お医者様よね!?お医者様ならこの病気、すぐに治せるんでしょう!?お願い助けて!この病気を治して!!」
しかし彼はこう言った。
「I'm sorry…。悪いが他を当たってくれ……」
そう言うと、彼は再び歩き出してしまった。
彼の足首から女性の手がするりと落ちる。
その外科医は、銀色の髪と黒のロングコートを風に靡かせその姿を消してしまった。