肉
□闇鴉2
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429番がいない鉄格子の中、看守は眉を寄せながら呟いた
「死ぬなよ、翅狗羅(シクラ)」
429番…いや翅狗羅は口の端をニヤリと上げながら階段を登る
一階に着くとたまに擦れ違う他の看守に愛想笑いを向け着々と出口に向かう
出口前の角を曲がる途中二人の看守の話しが耳に入る
「なあ聞いたか?ここの噂」
「噂?」
「ああ、何でもここには秘密の地下部屋があって、その部屋で化け物を飼っているらしんだ」
「化け物ねー?」
「ここの囚人が度々死ぬのは餌として与えてるからだと思うぜ」
「だがよ?そんな化け物も秘密の地下部屋も見た奴いねーんだろ?」
「化け物の見たことあんのは所長と迦威毅(カイキ)副所長だけで迦威毅副所長が化け物を飼い慣らしてるって聞いた」
翅狗羅は少し離れた所から二人の話しを聞いていた
『あいつ副所長だったのか、そら好き勝手出来るわけだ』
翅狗羅は帽子を目深かにかぶり二人に話しかける
「俺が聞いた話にゃあ化け物の方が迦威毅副所長に飼われてやってるって聞いたぜ?」
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