★short story★

□ただ君のそばに
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「いやー、ルーシィも強くなったよねー」

「あっそ…」

「…」

その渋ったようなあたしの返事に苦笑いをしているのはロキ。
いつもなら嬉しいはずの褒め言葉も、なんだか今日は嬉しくない。
それもそのはず、あたしだけはこのチームの中でなんやかんやすぐ壊すような人にはならない、そう決めていたはずなのに。


*-*-*-*-*-*-*-*

今日の仕事は不法売買も請け負ってる闇ギルドを潰すこと。
もともと、商売が中心だったみたいでそこまで強い魔導士はいないって聞いてたからすぐ終わるだろうなって思ってたんだけど、

どんな勘を聞かせたのか、つい2,3日前にそこそこ腕の立つ魔導士を雇ったみたいで、結構派手な戦いになった。

派手っていっても所詮はとってつけたような魔導士たち。エルザまでいるこのチームの相手ではなかった。

そのまま潰して、はい終わりっていうはずだったのに、
戦い終わった後に追いつめられたそのギルドのマスターは、どっかの意地汚い金持ちみたいなゲテ食いで(言い方。
あたしのこと「ブス」なんていうもんだから

「…ロキ」

「うぎゃぁぁぁああああ!!」


エルザ達も呆然とするぐらいにそのギルドマスターと周りの造形物を壊しまくってをしまった。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

そんなわけで、今はその帰り道。

「あーあ…なんかあたしももう駄目だなー」
「何が駄目なんだよ、少しくらい壊したってどうってことねーって」
「そうだぞルーシィ、そんなものでしょげていてはフェアリーテイルのメンバーは務まらん」
「あはは…それってどうなのよ」
「でもあれだけ僕の力を引き出せるってことは、ルーシィの魔力が強くなったってことだし」
「そーだぞルーシィ、んなことばっか言ってっとハゲんぞ」
「…なんでそこでハゲるのよ。でもま、そうよね。前向きに受け止めなきゃ!」
「ここで前向きになっちゃったらルーシィはもうこれからナツ達と同じ風になっちゃうよね」
「…やっぱりそうだよね…」
「ハッピー…、今のタイミングでそれは…」
「あい、すみません。でもいつものルーシィならツッコミという名の暴力を入れてくると思ったんだけどな」
「…」

その時、チームのみんなが思ったことは同じ。

(((((じゅ、重傷だ…!)))))

ロ「ルーシィが今のハッピーに対してなんのツッコミ(暴力)が無しなんて、これは相当キてるよ!!」
エ「ま、まさかルーシィがそんなにものを壊すのが嫌だったとは…」
グ「いや、別に俺たちだって好きこのんでやってる訳じゃねぇけどな」
ナ「そうだぞエルザ、俺たちは依頼こなしてたらなんか壊しちゃうだけで」
ハ「ルーシィもなんだかんだ言って今まで結構地味な破壊活動してるけどね」

「!!!!!…そっかぁ、あたしももうそんなとこまで来てたのかぁ…」

「ハッピー、ギルド帰ったら空気の読み方を教えてやる」
「…エ、エルザには教わりたくないかも…」
「何故だ?そんなに私の教えが聞きたくないのか?」
「いや、エルザ。お前も結構空気読めてないときあるからだと思うぞ」
「何!?そ、そーだったのか…私はハッピーと同等…そうだったのか…」
「あー、こっちでもめんどくせぇことなりやがった。どうせもう今日は遅いし、俺たちはこのままギルドに帰るから。ロキ」
「え?ルーシィは…」
「「「「ロキ、任せた」」」」
「…はい」



「…はぁ」
家に帰ってからもルーシィは机につっぷして溜息をついてばかりだった。
もういい加減君の溜息は聞き飽きた、とかなんとかロキが言ってたけど、
…ぶっちゃけ今すっごくどうでもいい。
ていうかロキ喋りっぱなし。

「…ルーシィ」
「…何よ」

いつになく真剣なロキの表情にルーシィはその目を見つめ問い返す。



「僕にどうしてほしぶふぉ!!

分厚い小説が顔面に向かってものすごい早さで飛んできました。

「あ、あああああんたねぇっ人が落ち込んでる時になんてこと聞くのよ!!最低!!」
「いや…」

そうか、言葉を少し間違えたんだとすぐに理解した。

「僕はどうしてたら君の元気が戻るのかなってこと」

そりゃどうしてほしい、とどうしていればいい、じぁ少し誤解を生むだろう。
特に今のルーシィには最低な言葉だと捉えられても不思議じゃない。

「…あぁ、そういうこと」
「星霊界に帰った方がいいのかな?」
「…」

星霊界に帰らせる。そうすればあたしは一人になれるわけだけど、
なんでだろう。なんでなのかよくわからないけど、無性にこの人に帰って欲しくない。
本当に、ただ、なんとなく。

ロキにそばにいて欲しい。

「やっぱり、帰ろうか?」
「…だめ」
「え?」
「だめ。帰っちゃ駄目。でも色々喋ったりもしなくていい」
「…ルーシィ」
「ただあたしのそばに居てくれさえすれば、あたしは明日にでも元気になるわ」
「…うん。わかった」

そう言って、2人は同じ空間で、会話もすることなく、それでも和やかな雰囲気で時間を過ごした。


「ルーシィ、もう夜だよ」
「あ…全然気付かなかった」
「もう大丈夫?」
「…うん。なんかロキがそばにいてくれたおかげで元気でてきた。もう大丈夫よ」
「そっか、じゃあ今日は帰らなくていいのかな」
「ごめん、やっぱ最低ねあんた。強制閉門−−」
「え、ちょっと…」
「ありがと、ロキ」

星霊界に帰っていく(正しくは強制的に帰らせている)ロキはというと、消えかかっている体で「冗談だよー」と叫んでいたけど、今更遅い。ニカっと笑ってルーシィは見送った。


本当にありがと、と呟いて。




*-*-*-*-*-*-*
ただ単にルーシィのツッコミがない会話を書きたかっただけだった気がする。
ルーシィがいないとグレイだと思う。エルザは完全にボケだと思う。
ロキルー初めてだからCP色強めにしなかったけどどーでしたか?
come〜の方の後編に入る前にちょっと休憩小説でした。
come〜の方、落ち決めたので、内容考え次第随時更新します。

四月一日(あ、わたぬきの誕生日)。 夏目 緋色
 

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