★short story★

□俺だってわかんねぇ
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わかんねぇ。なんでルーシィが俺のことを好きなんだ?今回の仕事はルーシィとハッピーと三人だった。1泊2日で、金持ちの屋敷の掃除のアルバイト。こんな面倒な、しかも暴れることなんて断固許されない仕事に行くことになったのはルーシィに家賃が払えないと泣きつかれたから。俺は別に暇だったからいいと言った。面倒だけど別にいい。なんでなのかはよくわかんねぇ。仕事が終わって給料もらって、歩いてギルドまで帰る。ハッピーが途中で寝ちまって、ルーシィが抱いてた。そんで俺達は他愛もないことを話してた。そしたら急にルーシィが俺のことが好きだと言ってきた。俺も好きだぞって返した。仲間なんだから、好きに決まっている。でもその答えはルーシィの言ったこととは的外れだったらしい。仲間としてならエルザだってグレイだって、みんなみんな好きだけど、ナツのことはみんなとは違う好きなの。そうルーシィは言った。その時頭にちらついたのは、あいつ。リサーナ。なんであいつが今出てくるんだ?俺には全然わからない。ルーシィの言う“好き”っていうのもわからない。全部全部、わからない。その時ルーシィに聞かれた。ナツはあたしのこと、好き?と。さっき好きって言ったじゃねぇか、って思ったけど、そうか。仲間としてじゃなくて、一人の人間として俺はルーシィのことをどう思っているのかが聞きたいのか。やっと理解した。でもわかんねぇ。俺はルーシィのことをどう思ってる?やっぱり仲間、としか思えない。その時にも頭をちらつくのはリサーナ。だからなんであいつばっか出てくんだよ。なんかいらいらする。ルーシィの言ってることも、理解はしたけど答え方がわかんねぇ。つまりここで俺がルーシィを好きだと言ったら、いわゆる恋人というのになるのだろうか。そう考えて最初に思ったこと。「ありえない」。やっぱり俺はルーシィのことは仲間としてしか見れないんだ、って。自分で言うのもなんだけど今日の俺の理解力は冴えている。俺はルーシィは好きじゃない。一人の女として見ることはできない。そこまではわかった。わかったけどわかんねぇことがまだある。リサーナ。リサーナがなんで出てくる?そういえばあいつ言ってたっけ。俺のお嫁さんになる、とか。その台詞、聞いた時は恥ずかしかった。恥ずかしかったけど嬉しかった。今も同じ。今思い出しても嬉しい。隣にいるのはルーシィであることに今は違和感。その時わかった。俺はリサーナにルーシィを重ねてたんだ。最悪、だ。ごめん、とルーシィに言うと、ルーシィはそれでもあたしたちは最強チームの仲間、フェアリーテイルの仲間だからねって言った。それを言った後にすぐ顔を逸らしたルーシィは、多分泣いてた。あー、俺って本当最悪。
それから結構な日が経った。ルーシィとリサーナを重ねてたことに気づいてから、やっとルーシィはルーシィなんだって思った。遅すぎる、けど。ルーシィ自身を見始めた俺の心には、ルーシィしかいなかった。都合良すぎだっつのまじで。今更わかったって遅いってことぐらい、馬鹿な俺でもわかってる。あの時この答えが出せなくてごめん、って。心の中でしかルーシィに言えない俺は本当に最低最悪。


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悲恋シリーズ第3弾ナツ。あぶないあぶない、危うくナツリサになるところだったぜ。私ナツリサ無理。るーちゃんが大好きなのごめんねリサーナ。
シリーズ化してしまったからにはナツを出さなきゃいけない。最後はルーちゃんならその前にナツ。そう思ったけど思いついた悲恋はこんなんさーせん。これ悲恋っていうかただの最悪やろーナツじゃんねー。

2010.5.19

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