JRGP

□序章
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しんしんと雪が積もる目覚めの朝。太陽はおぼろげな雲に隠れて見えないが、明るい景色が窓から見える。チクチクと肌を刺す寒さから毛布を放さずにはいられない。
(寒い)
(胸くそ寒い)
(“オヤジ”のダジャレじゃ済まない寒さだ……)
ぼんやりと半目になりながら、ベッドで毛布にくるまり、男は思った。寒いのは苦手だ。昔っから……特に雪の降る心まで凍てつく日は。
高校の時、通学路を走ってたら滑って転んで頭打つし。

その日のお昼の休憩時間、大好きなあの娘に告った時、噛んでスベッて振られたし。

その日の夕方、振られ情報が学園中を駆け巡り、あの娘はマドンナ、俺はチンピラ、ミハエル、振られる。寒いアクセント。「月とスッポン」言われたし。


めっちゃブルー……
バラ色のキャンパスを夢見た頃もあったっけ………

あの頃は、チンピラ復活!大学巡り、恋愛成就ぶらり旅…とか考えてたかな。

……でも現実は、

チンピラ即殺!山岳巡り、醜態ぽっくりブラリ首…になりそうだったぜ……

とか考えながら、全身に悪寒が走った。しかし、よく考えてみたら、それは方向音痴な自分だっただけの事。その後の生活は、戦争とか起きちゃって、んまぁぁ大変大変たい……!!

祖国を守る為に士官学校へ入学したら親父にしばかれ家出したし。卒業後、前線空軍基地で親父と再会……いろんな意味で大暴れ。
(いっぱいおとしたなぁ……敵も、女も……)
いろんな人生を一編に思い出したら、ぼんやりとしていた頭は冴え渡り、幾つもの記憶を辿ると熱が込み入り、心身ともに温かくなった。その男「##NAME1##」は上体を起こし、毛布を退かしてベッドを降りた。
「いつまでもウジウジしてられないな」
##NAME1##はひとり呟いた。
クローゼットのドアを開き、私服に着替えてリビングへ向かった。昨日買っておいたパン(朝食)を食べる為だ。仕事もあるし。リビングへ着くと、女性がもぐもぐ朝食を食べていた。
「あ、おはようお兄ちゃん!」
にこにこ笑いながら、元気な声で挨拶した女性……てか妹。妹を一瞥した男は、「はぁ〜…」っと大きなため息を漏らし、身支度して玄関へ向かった。
「あれ、お兄ちゃんどこ行くの?」
「仕事」
「ご飯は?」
「お前が食べてるだろ」
「あ…(汗)」
「はぁ〜…」っと又ため息をついて##NAME1##はガチャっと玄関のドアを開けた。
「あっ、待って!あたしも行くぅ!!…って、ぅわあぁぁ!!」

ゴチッ!

靴ひもを踏んづけ転び、頭を打つとは何とも古いベタ。その妹「##NAME4##」を見て、##NAME1##は又溜め息を吐いた。
唯一、蒼穹を飛ぶ事だけが生き甲斐な兄。……但し、極度のバカっぷり。
それに反して、家事・炊事・勉学・運動・ドジをこなせる妹。……但し、極度のブラコン。
そんな兄妹の日常的な出来事は、朝のひと騒動から始まる。

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