独立への戦火

□4章 十翼の亡霊(前編)
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ジェイクは敵のヨーに付き合いながら、しつこく堅実にトレースしていく。のっけから好ポジションにも関わらず、目の前の敵は激しく左右にぶれ、なかなか撃つチャンスが得られない。ロックオンの心地よい電子音が鳴るのもしばしばあるが、目標コンテナに納まったのはほんのコンマ数秒だけだ。何回も聞いていると結構じれる。
この世の絶望のように紅蓮の炎が基地を包む。飽和する火災が目に痛い。空気中の温度が上がり立ち上る煙で身体が圧迫される。焼け焦げた廃材を蹴り飛ばし、ジェイク・マクファーソンは空を見上げた。人ん家を荒らした化け物は、悠然とホームの夕凪を滑空していた。込み上げてくる怒りと、何も出来なかった自分に腹が立つ。
「………くそったれが!!」
弱々しく吐き出された愚痴は、この悲劇の惨状に対して。そして、いつかこの手で亡霊を撃ち墜とす為に思い綴られた言葉だった。
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