しとしと、と降る秋雨
時々起こるそれは今日だった
「あ、あァア、ぐァ」
いつもは絶対に外そうとしない眼帯を引き千切り
喉から直に吐き出したような声で呻く
瞳孔は開ききっている
初めてではない
ごく稀にあるのだ
悲しみに暮れる日
苦しみに暮れる日
「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」
壊れたみたいに同じ言葉を吐き続ける
こんな時はただ傍でそれを直視するだけで
それしか出来ない自分に腹が立つ
所謂、解離性障害
普段は強靭な精神力のもと
抑えられている衝動が崩れる瞬間がある
母や右目に対する強い劣等感、恐怖感
計り知れない程の負荷
「うぐ、あァア」
右目から膿が流れる
左目から涙が流れる
終わりに近い合図だ
「うぅ、ァ」
浅い呼吸を徐々に落ち着かせる
深く酸素を吸い込む
終わる間際、
愛で埋め尽くす為に
彼を強く抱き竦めた
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