企画小説

□実験材料
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【18歳(高校生含)以下閲覧禁止】





『――平和島静雄だな?』

自分の名前を呼ばれて静雄は振り返る。


「あ゙?」


視線が捉えた先には、今初めてあったであろう男が3人。
全く面識は無かった。
いや、もしかしたら会っていたかもしれない。
しかし何分、彼は人の顔や名前を覚えるのが苦手だった。


「誰だ、手前ェら」


静雄は溜め息混じりにタバコの煙を吐き出し、男達に向かい合うと吸いかけのそれを地面に落とし、踏みつける。


『お迎えに上がりました』
「迎え…?」


何の話だと静雄は眉を寄せると、突然後ろから左手と口を抑えられる。


「んン゙ッ!!?」


完全に油断をしていた。
しかし、後ろから来る気配も感じられなかった。
"本来ならば"誰よりも先にこの気配に気付くはずなのに。


「シーズちゃーん。ちょっと大人しくなってもらうよ?」
「ッ!!(臨、也…っ)」


突然現れた臨也に怒りを覚えながらも、空いていた右手で引き剥がそうとするが、口を抑えられた布からの匂いに力が抜け一気に眠気が襲ってきた。


「なん、…っ?」


――ドサッ。


静雄はコンクリートの上に倒れ込んだが、そんな事よりも何より瞼が重い。
必死で意識を繋ぎ止めようとするが、その努力すら無駄に終わる。


「さぁ、…始めようかシズちゃん」


苛立たしい臨也の声だけ耳の奥に残して――。
























――…バシャン!!


「ぷはっ!?…なっ…??」


突然顔面に水を浴びせられ、意識が覚醒する。


「は、…ぁ?」


静雄は瞬きを繰り返しながら、今の状況を考える。


「…んだっ、これッ!!」


静雄は冷静さを失い、声を荒げた。

今の状況に怒りを感じたからだ。


薄暗い部屋。
何故か自分にだけ向けられる眩し過ぎるライト。
横たわる自分の体は、寝台のような物の上。
そして身体中をベルトで拘束されている。
そして感じる、人の気配。

実際静雄の周りには数人の男が立っていた。
どの人間も真っ白な白衣に身を包んだ。


「やーっと目ェ覚めた?シズちゃん」


状況を理解できないまま混乱していると、白衣の男達とは反対に真っ黒なコートに身を包んだ臨也がひょっこり現れる。


「…ッ、いィざァやァーッ!!」
「あれ、怒ってるー?おー恐っ!」
「っざけんな手前ェ!?コレ早く外せ!!」


臨也は笑った。



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