企画小説
□動物愛好家
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【18歳(高校生含)以下閲覧禁止】
今日は臨也の家に遊びに来た。
何でいつも臨也と喧嘩している俺が、家に上がってしかもお茶でも飲みながら寛いでいるのは…まぁスルーしてくれ。
とりあえず、そういう事だってある。
「シっズちゃーん!」
「うるせぇな…」
二人きりになると臨也はウザい。
いや、ウザいのはいつもの事だけど、より一層ウザくなる。
「じゃーっん!」
「…犬?どうしたんだよそれ」
仔犬を抱えて出てきた臨也は、ニコニコしながら腕の中に収まるそれを俺に差し出した。
「可愛いでしょ?今日だけ借りてるんだ。佐藤さん」
「佐藤さん?あぁ飼い主の名前か。コイツの名前は…」
「だから佐藤さんだって。元の名前がセンス悪すぎだったから俺が名前付けてみた!」
「…バカなの?」
「違うよ頭良いよ俺」
フルフルと首を横に振って可愛い子ぶってる臨也は本当に気持ちが悪い。
臨也を無視して受け取った犬を撫でてやると、ワンと鳴きながら尻尾を大きく振って凄く可愛かったりする。
「でねでね、折角今日だけ借りれるんだからさ、コイツと一緒に遊ぼうよ」
「あぁ、玩具とかあるのか?」
「んー…寧ろシズちゃんが玩具かな!」
「は?おい…」
突然臨也は席を立ち、あるモノを取り出した。
「シズちゃん、牛乳と蜂蜜どっちが良い?」
「…どっちも嫌だ」
絶対良くない事を考えている。
「どっちもね、もー欲張りだなぁ」
その証拠に断ったはずのそれを持って、臨也は俺の前に戻ってきた。
「最初は牛乳かなぁ」
『ワンっ!』
勝手に話を進めるな。
佐藤も相槌を打つな!
そんなことを言う前に、臨也はとんでもない事をしてくれた。
「シズちゃんも牛乳好きだよね?」
そう言って俺の頭に牛乳をぶっかける。
「…何してんだ臨也ぁ」
ビチャビチャと言う音を立てて牛乳が俺の体を伝い、服に染み込んでいく。
サングラスを取って顔に垂れる牛乳を拭うが、上手く拭き取れない。
「帰りどうしてくれるんだよ!?」
「洗濯すれば良いでしょー」
「洗濯って…うわ!」
突然佐藤が俺の顔に付いた牛乳を舐めてきた。
「…お前、綺麗にしてくれてるのか?」
佐藤はワン!と吠えて、再び俺の頬をペロペロと舐める。
可愛い…、本気で可愛い。
てか、何故俺の言う事が分かる。
そこは最大の謎だが気にしない事にした。
「良い子でしょー?佐藤さん」
「お前より断然な」
佐藤のお陰で臨也への苛立ちもだいぶ収まった。
やっぱり動物は良い。
「じゃあ佐藤さんに全部綺麗にしてもらいなよ」
…だから、何故そうなる。