企画小説
□不器用な恋愛模様
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【18歳(高校生含)以下閲覧禁止】
高校生活3年目。
いよいよ行事も少なくなってきた秋真っ盛り。
来神高校は毎年恒例の学園祭が催された。
「――あ、ねぇドタチン、シズちゃん見なかった?」
『いや、見てな…って臨也、お前その格好…;;』
「あれ、よく俺だって分かったね。可愛いでしょ?俺のセーラー服姿。ウチのクラス、男子は全員女装なんだ」
不器用な恋愛模様
クラス毎に出し物は違うが、3学年にもなると学園祭を盛り上げる為、どうしても羽目を外すクラスが出てくる。
それが正に臨也のクラスだ。
男子が全員女装という女子の強制的な企画に、当日男子達は彼女達の着せ替え人形と化した。
もちろん臨也も例外ではない。
一体誰が何処からこんなに大量の服を持ってきたのか、という程の服の山から、臨也は女装には定番のセーラー服を着せられる。
メイクにウィッグまで、好き放題やられる始末だ。
結局自分は手を出さないまま、短時間で今時の女子高生に劇的変身を遂げた。
『似合ってるのが恐いな…』
「まぁね。クラスの女子に散々弄られたのは気に食わないけど…ってこんなことしてる場合じゃないや。じゃあねドタチン」
『あぁ、あんまり急ぐとパンツ見えるぞ』
「ドタチン、セクハラ!」
午前中店番を任された俺は、この外見だけで売り上げに大分貢献した。
女子よりも可愛いと評判の俺の美貌は、ほんの1時間弱で自分のノルマを達成させた程だ。
そのお陰で今は自由時間を悠々と過ごすため、シズちゃんを探している。
折角の学園祭なのに、一人じゃ楽しくも何ともない。
「シズちゃんのクラスって家庭科室も使ってるんだっけ…」
使用許可の下りた部屋割りを見ると、シズちゃんのクラスは教室と家庭科室が利用出来るようになっていた。
「新羅が教室には居ないって言ってたから、たぶんアッチだよね」
生徒や外来者の視線をそこそこ浴びながら、足早に家庭科室へ向かった。