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□俺の王子様
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【18歳(高校生含)以下閲覧禁止】





遠い遠い国に、日々也という王子様が居ました。
王子様は黄金の冠に黄金のマントを身に付け、白馬に乗り颯爽と駆け抜けます。
国民を愛し、愛され、皆から人気者の王子様はそんなある日、街で噂の青年と出会いました。



















王子様
























「おー早ぇ…」


デリックはお気に入りのタバコをふかしながら、いつもの調子で呟いた。
目の前を風のように駆け抜ける白馬。
その上に跨がるこの国の王子。
その背中を見送ると同時に周りでは王子へ向けての黄色い声が飛び交う。


「あれが王子か…。生で見たの初めてだけど確かに綺麗な顔してるよなぁ。それにしても随分騒がれちゃって…」


デリックは短くなったタバコの火を消すと、留めていた煙を綺麗に吐き出し、小さく笑う。


「ま、俺なんかとは天と地ほど差があるわな」


そんなことを言いながら、デリックは今晩の相手を探していた。
自分と夜を共にしてくれる相手を。

一般的な食事と寝床にありつければ、相手が誰であろうとデリックは気にしない。

本気になることはない。
ただ、彼はセックスという行為が好きだった。
突っ込もうが突っ込まれようがそれがセックスであれば、デリックは喜んで自分の体を差し出した。
少なからず、それ相応の金も貰っていたが欲しいものは金なんかじゃない。
貰えるものは遠慮なく貰っていたが、今のデリックは他人とセックスで心も体も満たしていた。
気付けばそれが生き甲斐とでも言うように。


白いスーツにピンクのストライプシャツ。
ピンクのヘッドフォンを身に付けたデリックの噂は街中の人間が知っていた。
目立つ外見に近付こうとする人間は限られていたが、自分はこうやって自分の存在をアピールすることで生きてこれたのだ。

今日の相手は男か女か。
はたまた年上か年下か。
整った顔のお陰で相手に困ったことはほとんど無い。
今日も顔も知らない両親に感謝をし、誰かに声を掛けられるのを気長に待ちながら、毎日を楽しく過ごしていた。























そんなデリックを、この国の王子である日々也は丘の上から眺める。


「あの男…――」



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