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□輪廻転生
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新羅の家から自分のアパートに帰る途中の路地裏。
時間も11時を回っていた為、殆ど人の気配はない。
家の明かりも付いていたり消えていたりで、街灯が道標となり、暗い裏道を等間隔で照らしていた。
明日も早いから今日は直ぐに寝よう。
そんな事を考えながら歩いていると、ふと後ろから迫る気配に気づく。
不審に思い振り替えると、自分が歩いてきた道を辿るように、慌ただしく一組の男女がコチラへ向かって走ってきた。


「あ…?」


しかもその後ろから変な動きをする人間が二人を追うように走ってくる。


『あっ、痛っ…!!』


ベタな展開と言うかなんと言うか…。
俺が立っている数歩手前で女の子の方が躓いて転んでしまった。


『だ、大丈夫!?』
『は…はいっ…!』


一緒に走っていた男が女の子に元へ戻るが、怪しい人間はどんどん近付いてくる。


『立てる?逃げ…っ』
「おい」
『え?』
「とりあえず、アイツぶん殴ればイイのか?」
『へっ!?あ、あの…』


近付いて分かった。
2人を追ってきた男は、手にナイフを握っている。
どうやら穏便に済むような話ではない。


「おい、どーすんだ!?」
『た、助けてください…!!』


























――同日、新宿。


『この前の仕事の時の傷、具合はどうなの?』
「悪くないよ、良い医者を紹介してもらえたからね」


臨也はパソコンの前に座り、軽快にキーを叩き続ける。


『その医者、本当に大丈夫?』
「…珍しいね、そんなに心配してくれるの?大丈夫だよ。シズちゃんの友達だって言うし、傷口も結構綺麗に縫合されてたしね」


基本的に自分の仕事に口を出さない秘書が、何かに興味を持つ様が面白くて、臨也は楽しそうに答えた。


『シズちゃん…って前に言ってた平和島静雄って男?』
「興味あるの?」
『誰に対しても興味を持てって言ったのは誰?』
「…俺だね。ふふっ、平和島静雄…少し調べてみたんだけど大した情報は出てこなかったんだよねぇ」


つまらない、とばかりに新たな書類に目を通していると、すかさずその書類を取り上げられた。


『…まだ熱は下がってないんでしょ?無理はしない方がいいよ』
「ありがとう。じゃあ少し休もうかな…ちょっと疲れたよ」


背伸びをして溜め息を吐くと、急にだるさと疲れが体を襲う。


「じゃあ俺は少し部屋で休むから、後は宜しくね」
『うん、おやすみ兄さん』


パソコンの電源を落とし、実の弟でありながら秘書として仕事を手伝ってくれる彼に微笑み、臨也は自室へ向かった。


「おやすみ、幽」



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