短編
□寂しがり相談室
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それは春も半ばのころのこと。
今日も一日授業が終わり、なんの部活にも所属していない希藤は、教室で帰り支度をしていた。
荷物をまとめ、さて帰ろうというとき、担任の弥生に「文月」とよびとめられた。
「なにかご用ですか」
少しつんけんした態度で希藤は返事をする。
「ああ、帰るところ悪いんだけど、ちょっと掃除頼んでいいか?」
少し困ったように微笑んで、弥生は希藤の目前に鍵を差し出した。
「掃除って、まさか…相談室の、ですか?」
弥生は表情を変えぬまま、頷いた。
【寂しがり相談室】
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