短編

□寂しがり相談室
1ページ/45ページ


それは春も半ばのころのこと。


今日も一日授業が終わり、なんの部活にも所属していない希藤は、教室で帰り支度をしていた。

荷物をまとめ、さて帰ろうというとき、担任の弥生に「文月」とよびとめられた。


「なにかご用ですか」

少しつんけんした態度で希藤は返事をする。


「ああ、帰るところ悪いんだけど、ちょっと掃除頼んでいいか?」

少し困ったように微笑んで、弥生は希藤の目前に鍵を差し出した。


「掃除って、まさか…相談室の、ですか?」


弥生は表情を変えぬまま、頷いた。


【寂しがり相談室】


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ