二子峠

□追う者去る者
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奥羽の二子峠の麓。人気の少ない場所に建つ日本家屋で事は起こる。
 
「なぜお前はこれを着てくれんのだ!?」
 
第一声は家主である伊賀忍末裔現棟梁、赤目の叫び。
 
「誰が着るかよ……!……んな悪趣味な服」
 
言い返すは同居人であり、喧嘩屋のジョン。
ジョンは今まさに窮地にある。毎度毎度の事であるが、仮にも恋人である男に追いかけ回され挙句に女物を着せられそうなのだ。
「せめてコレだけでも!せめて!!」
ズイッとジョンに抱き付き黒のGパンを脱がし始め、手に持っている物を着けようとする。
「な、なにしやがる!!」
必死に押し返すジョン。しかしただの喧嘩屋が忍に勝てるはずもなく、あっという間に拘束される。気がつけば足がヤケに寒い。
恐る恐る足下を見れば、ミニスカートから露わになっている足。ジョンは怒りと羞恥に身を震わす。
「ハァハァ、可愛いぞジョン!」
「露骨にハァハァ言ってんじゃねー!!コノヤロー!」
殴ろうとするが、赤目にがっちりとホールドされている為に動く事ができない。
「今すぐお前を襲いたくなった」
「ば……アホな事言うな!!」
すかさず頭突きを食らわし気絶させる。
赤目はよろめき近くのベットにダイブだ。さすがに忍でも顎に食らえば痛みは尋常ではない。
「この変態ヤローが!!勝手にくたばりやがれ!!」
ジョンはそれを尻目にすぐさま着替えて赤目を睨み怒声を浴びせ、自分の部屋へと逃げるのであった。
 
 
後日、ジョンが一言も口を聞かなかったのは言うまでもない。
 
 
Fin

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