企画短編2

□AtoZ
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「おはようございます」


玄関の扉を開けたのは、両手にいっぱいの買い物袋を抱えたヤマト。

休みの日は一人暮らしのカカシの部屋へ行き、掃除洗濯ご飯の準備をする。それがヤマトの休みの過ごし方。
そして何より幸せな時間なのだ。


「…なんだヤマトか」


肝心の部屋の主は何時にも増しての寝ぼけ眼でヤマトを確認すると、また夢の中へと旅立って行ってしまった。


「またこんなに散らかして」


部屋に入ってそうそう、買って来た物を手早く所定の位置に納め、散らかった部屋を片付け始める姿はまるで彼女のよう。


「なんだかジメジメしてるな」


梅雨独特の空気を入れ替えるべく、窓を開けようとしたヤマトの目に留まったのは、あられもない姿でベッドに寝ているカカシだった。

しかもカカシの裸体を覆っているのは、ピチピチのボクサーパンツ一枚のみ。


「いや…確かに蒸し暑いですけど、流石にその格好は目の毒ですよ」


いけないとは思いつつも、ヤマトの視線はカカシの大事な場所に釘付け。
心なしかその場所は、こんもりと盛り上がって、おまけに顔はニヤけている。


「先輩…もしかして、変な夢見てるんじゃ…」


尊敬する先輩がエッチな夢を見ているなんて思いたくないヤマトは、首をブンブン振りながら自分のバカな考えを振り払おうとしていた。

そして丸見えのカカシの体をベッドの脇に落ちているシーツで隠そうとした。

その時…


「…あ」


シーツを掛ける途中、思いがけずに触れてしまった硬いもの。

それが何か分かったヤマトは火が飛び出るほど顔を赤くした。
頭の中は、全力で頭を振ったくらいでは消えないくらいの妄想が渦巻いていた。


「大きい…」


自分が今触れたモノは、間違いなく自分にもあるはずなのに、触れただけで分かる大きさの違い。

もっと触ってみたい!


ダメだとは思いながらも、ヤマトの手はカカシのアレに引き寄せられるように近付く。

あと数ミリで接触。というところでヤマトはハッと我に返った。


「ダメだ!ダメだ!」


一旦離しても、やはりヤマトの手はカカシのアレに引き寄せられてしまう。

離しては近付く、何度もそれを繰り返していくうちにヤマトの頭の中に浮かんだのは、数日前サクラ達がキャーキャー言いながら見ていた雑誌の記事だった。

通り過ぎるフリをして横目で見たその記事の見出しが余りにも衝撃的で、ヤマトの脳裏には今でもその記事の内容が刻まれていた。

彼をビンビンに喜ばせるマル秘性感マッサージ

いかにもなタイトルの通り、記事の内容もやや卑猥。
その卑猥な内容が、今ヤマトの頭の中で鮮明に、且つ神聖な事として蘇っていた。


そう、ボクがやろうとしている事は、疲れている先輩を喜ばせる為のマッサージなんだ。


そして蘇る記事の詳細。

A 愛する彼を
B ビンビンにしちゃおう
C 先端から根元まで
D 大胆に触ってね
E いい感じに起ったら
F ふーっと息を吹きかけて
G じーっと見つめて
H エッチな言葉を言ってみる
I 愛情込めて撫で回し
J じゃあそろそろ
K キメの
L リップサービスへ
M まずは
N …
N…N…エヌ

思い出せない…いつか役に立つかもと覚えていたはずなのに。

所詮チラ見で覚えた内容だった為、ヤマトの記憶は途中で途切れてしまっていた。

しかし、そこは流石のヤマト。
忘れている部分もやっていれば思い出すかもしれないと開き直り、いざマッサージ開始。

さっきまで躊躇していた手は、マッサージという大前提の下すんなりとカカシのアレを掴もうとしていた。




「なーにしてんの?」


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