novel

□短編2
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「そ…そうですね…。やはり手っ取り早いのはボンゴレリングに炎を灯させる事だと思いますが…」
「リングを持ってないって言われたら困らない?」
「ご心配には及びません、10代目。既にボンゴレリングのレプリカと一緒に全属性のリングを手配済みです」


話し合いの最中にパソコンでメールを送り、リング職人に発注していたらしい。


「さすが俺の右腕だね。頼もしいよ、獄寺くん」
「こ、光栄です!!」


さっきまで落ち込んでいたのに綱吉に誉められただけで、獄寺は天にも昇る気分になった。


「あとは守護者以外に変装してるかどうかの見分け方だけど…」
「ボス…特技をやってもらうのはどう?例えば…イーピンちゃんなら餃子拳とか…」
「獄寺の姉貴ならポイズンクッキングだな」
「ならば、黒曜の城島と柿本はウルフチャンネルやヨーヨーを使った技か」
「山本のお父さん、俺の母さん。それから京子ちゃんとハルとフゥ太と草壁さんは…」


彼らに他人には簡単に真似出来ない特技があったかと、綱吉は頭を捻った。


「親父なら魚を捌いてもらって、寿司を握らせればよくね?俺なら親父と他人の違いは一目瞭然だぜ。何たって、毎日見てるからな」
「笹川とハルは未来に行った時の出来事を聞いて、判断すればいいんじゃないでしょうか?生年月日とは違って、偽者には絶対わからない情報ですよ」
「そっか。じゃあ、山本と獄寺くんの意見を採用で。問題は…母さんとフゥ太と草壁さんだね…」


フゥ太はランキング能力を失ってしまっている為、新しくランキングを作れるかどうかでの判断は出来ない。

奈々も草壁も特技はあるだろうが、絶対に真似出来ないというわけではないはずだ。


「ツナ…フゥ太と草壁さんはハル達と一緒で未来での出来事を聞けばいいんじゃないか?ほら、アルコバレーノのおかげで未来の2人の記憶がこっちの2人にも受け継がれてるはずだろ?」
「あ、そうだった!!」
「となると、残りは沢田のママンだけだな…」


全員であれこれと意見を出し合ったが結論は出ず、奈々の見分け方は息子の綱吉が考える事になった。


「はあ…。いよいよ今日の夜か…」


キッドが予告していた犯行当日。

緊張から気分転換に散歩に出た綱吉は公園に立ち寄り、ベンチでため息をついた。


「(今日は1個だけ盗んで、残りのリングは別の日に盗むつもりなのかな。また改めて予告状が来るとか?)」
「お兄さん」
「ん?」


声がした方を見れば、ランボやイーピンと同じ年くらいの女の子がいつの間にか綱吉の隣に座っていた。


「どうしたの?ため息つくと幸せが逃げちゃうよ?」
「あ…うん。明日、学校でテストがあるんだ。自信がなくて…」
「…日曜日なのに学校があるの?」
「あっ。…明日は日曜日だよね。明後日の間違いだったよ…」


女の子の指摘に綱吉はしまったと心の中で呟いた。


「歩美ちゃん!!」
「コナンくん」


どうやら女の子の名前は歩美というらしい。

歩美はベンチから降り、近付いてきたコナンという男の子に手を振った。


「歩美ちゃん…。1人でどこかに行っちゃダメだよ。みんな心配してたよ」
「ごめんね。このお兄さんが元気ないみたいだから、気になっちゃって…」
「…知らない人に無闇に近付いちゃダメじゃないか」
「ごめんなさーい」


俯く歩美の姿が先日のしょげた獄寺の姿と重なり、綱吉はくすりと笑った。


「酷いなあ、コナンくん。俺はこんな小さな女の子に変な事したりしないよ」
「あ…ご…ごめんなさい…」
「いいよ。歩美ちゃんとコナンくんは2人で遊んでたの?」
「ううん。少年探偵団のみんなと一緒に怪盗キッドに狙われてる人を探してたの」
「た…探偵団!?」


どうしてボンゴレ関係者以外知らないはずの情報を自称探偵とはいえ、小1くらいの女の子が知っているのだろうか?

綱吉は驚き、目を見開いた。


「怪盗キッドが…この町に来るの?」
「うん。あのね、警察の中森警部のところにキッドから予告状が届いたって目暮警部がコナンくんちに相談来たの」
「何で警察が…コナンくんのお家に?」
「コナンくんのお家にはスゴい探偵さんが住んでるんだよ。眠りの小五郎って知ってる?」
「知ってるよ。毛利探偵でしょ?殺人事件を解決したって新聞で見た事あるから…」


綱吉はめったに新聞を読まないのだが、キッドの記事が載っていた新聞に小五郎の記事も載っていたのだ。


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