long

□第15話
3ページ/7ページ


「…じゃ、そろそろ寝ようぜ。」



キルアと談笑を楽しんで、気付けば夜。



『…そうだ、オレはどうすれば…』


「あー大丈夫大丈夫!部屋は準備させといたから。

親父が言うには、「好きなときに好きなように使ってくれ」だそうだ。」


『わ…本当にいいの?』


「…いいって。…それにオレもお前にここにいてほしいし…」



こっちこそありがとな、とキルアは笑った。


…最近キルアが優しすぎると思うんだが。

特にバイオリンで曲を聴かせた時くらいから。


…やっぱり少なからず念の影響を受けてるんじゃないかな…?



「…じゃ、部屋のこととかは使用人に訊いて。

なんかあったらオレの所に来いよ?…また明日な!」


『あ、うん。おやすみー』



ヴィキはキルアと手を振り分かれる。


…なんか修学旅行みたいなお泊り気分。


ヴィキは近くにいた使用人に部屋の場所を聞き、自室へ向かう。


本当に今日からゾルディック家に泊まるんだ…

みんなと仲良く出来ればいいな…。


部屋のドアを開けると、使用人が笑顔で出迎えてくれた。



「ヴィキ様、キルア様から寝巻はこれを着るようにと…」


『…?あ、はい。』



差し出されたのは明らかにキルアのものと思われる長袖のTシャツ。


…これ…原作でもキルアが着てた服じゃん!



「キルア様から「これ着て今日は寝ろ」だそうです」


『え…えぇっ!』



使用人はヴィキに遠慮する暇を持たせず、無理矢理服を渡す。


…キルアの長袖のシャツと半ズボン。

触っただけなのになんだかドキドキする。



「そのお着物はここに置いておいてくださいね。

それではごゆっくり…」


『ちょ、これ…!』



そう言って一礼して、部屋を出ていく使用人。


…一人呆然と立ち尽くすヴィキ。



『こ…これを…オレが…』



今自分が持っているのはキルアの服。


…遠慮したら、キルア怒るんだろうなあ。

それにここに来るまでに着ていた服は血だらけで洗われちゃってるし…

このカルトの着物のままで寝るわけにもいかない。



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ