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□第16話
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ーヴィキsideー

…キルアは、怯えたような目でその男を見つめていた。


…なんだ?

このただのナンパ男にキルアほどの人が怖がる理由があるのか…?


…あった。


…そう、まさかと思い“凝”をしたら…

男は、研ぎ澄まされたような整った念を見にまとっていたのだ。


無意識に“練”をしているオレには全然怖くないが…

まだ念を知らないキルアは、無防備な体で念を感じているわけだ。


…非常に、マズい。

オレが念を使えるって事がバレるって事もそうだけど。


キルアの命が、危ない。


念を知らないキルアは勝つ気満々で彼に挑むだろう。

…そしたら、男は迷うことなくキルアの無防備な体に念を放つ…。


キルアを、守らなきゃ…



「お前やる気か?…死ぬぜ?」



男の言うとおり。


このままではキルアが危ない…!



「…死ぬのは、お前だ」



キルアはヴィキの予想通り男に立ち向かおうとする。



『キルア…やめろ!オレは大丈夫だから!』



必死にキルアを説得する。


…お願い、戦わないで…!



「…ごめん、ヴィキ。それはちょっと無理…

大丈夫、オレが負けるわけないじゃん…!」



そう言うキルアはまるで自分に言い聞かせているようだった。

…だって、キルアの声は震えてる。


…やめてよ、キルア…!

こうなったらキルアの目の前で念を使ってでもアイツを倒すべきだろうか。


…ヴィキは意を決し、念を使おうとした…


その一瞬だった。



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