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□第9話
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「ヴィキ◆」


『ん…?』



ガン飛ばしをやめたヒソカはやっと話を始める。


ヒソカ…どんなことを話すつもりなんだろう。



「試験はどうだい?」


『ん…まあまあ。同じぐらいの歳の子がいたから楽しいよ。』



…これってたぶん本題じゃないよな…。

本題の前の世間話ってやつ?



「…そうか◇じゃあ試験後はどうするつもりだい?」


『それは…』



オレはこっちに来てからヒソカに拾われて養ってもらってきた。


…でも、試験が終わったら?

ヒソカは原作通りなら試験が終わったら蜘蛛に戻って行動するはず。

当然ながら蜘蛛じゃないオレは受け入れてもらえない。


…まさか、ヒソカの言いたい事ってオレがどうするか訊きたいってこと?



『…まだ、決まってない。』



…そう、オレに帰る場所なんてない。


この世界はオレの世界じゃないから。



「…じゃ、一緒に来るかい?」



ふいに、ヒソカはにっこりと笑ってそう言った。


変な感じとかは不思議と全然しなくて…

本心で言ってくれてるような、そんな気がした。



『…いいの?』



正直、すごく嬉しかった。

…たぶんオレ、今すごい笑顔だ。



「別にいいよ◆キミが弱ければ死ぬだけだ◇

強ければ“奴ら”に気に入られるから、居場所もできるだろう?」



“奴ら”って…蜘蛛の事か。

オレ、蜘蛛に入らなきゃいけないのか?


…それでも帰る場所があるだけマシか。



『…ありがとう。でも…』



やっぱり少し迷いはある。


ヒソカに言われたのは嬉しいし、行きたいとも思う。


でも、蜘蛛じゃなくて…ゴンや、キルアと旅をしてみたい。



「…友達か?」


『…!…うん。』



なんでわかったんだろ。


…オレ、最悪だな…。

ヒソカがついてこい、って言ってくれてるのに。


こんな欲なんか持つ資格なんか、オレにはこれっぽっちもないのに。



「迷うことはない◇行きたければ行けばいいじゃないか?」


『…そんな…悪いよ…』


「悪いと思うなら来ればいい◆」


『……。』



ヒソカ、なんでこんな優しいんだよ。


…もっと怖い人だと思ってたんだけど。



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