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□第9話
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ヴィキがロビーに行くと、そこには汗だくのキルアがいた。



『(…キルアが汗だくって事は…。

原作通りだと今は球取りゲーム直後?)』



ゴンとキルアに会ってからだいぶ話が原作通りじゃなくなってきた。


…それはちょっと不安だけど…まあ特に心配はなく。

今はロビーにいるキルアの方が心配だった。



『キルアっ』



ヴィキはキルアに声を掛け、持っていた冷えたジュースを後ろからキルアの頬にぴとっと当てた。



「ぅわっ!?」



驚いて声を上げるキルア。

バッと振り返ると、なんだ…という顔をする。



『…驚いた?』


「なんだ、ヴィキか…」



ちょっと浮かない顔をしているキルア。


…あ、そうだ。このジュース一緒に飲もう。

…オレはさっきたくさん飲んだからね。



さすがに「たくさん飲んだ」という意識だけはあったらしい…。



『や、キルア。…汗だくじゃん。ジュース、飲む?』


「…いい。」



キルアはちょっとイラだっているようだった。


ふいっと向こうを向くと、溜め息をつく。



『…なんか、あった?』



…ホントは知ってる。

たぶん、ネテロさんの球が取れなくて悔かったんだろう。



「…別に。」


『……。』



さあ、どうしよう。



「……。」



沈黙が流れる。


……。

…あ、そうだ。


例のバイオリンの念…回復以外にもできたんだ。

リフレッシュ効果や、その他もろもろ…

…我ながらすごいね、オレの念って。



…と、いうわけで念を使ってみようとしてみる。



『…な、キルア。ちょっとここでコレ弾いていい?』



ヴィキはそう言ってバイオリンを見せる。



「…なんでここで…」



まあ、予想通りの反応。


…でもこんなんじゃ、諦めないぜ?



『…なんとなく。

一人で練習するより聴いてもらった方がいいじゃん?』


「…勝手にすれば」



どうでもいい、というようにキルアは答える。


…相当イラついてんのかな…

…考えないようにしよう。


ヴィキは深呼吸をすると、バイオリンを構える。



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