long

□第17話
1ページ/6ページ


ヴィキは、キルアの部屋にいた。


キルアは念のおかげでだいぶ良くなったがまだ意識はなく、ベッドで寝ていた。

そんなキルアをヴィキはじっと見つめる。


もう何時間ここにいるんだろ…


帰ってきたのが夕方ぐらい。

…で、今は外が真っ暗だ。


…キルアを連れて帰ると、まず使用人達がこの事を知り軽くパニックに。


怒られるかと思いきや、「キルア様は大丈夫です。それよりヴィキ様、お怪我はありませんか」と言われ。

キルアが怪我をするのはしょちゅうあることらしくて。


…パニックって、心配されてたのオレですか。


…で、キルアは部屋に運ばれて寝てる。

オレはやることもなかったので、風呂に入ってからキルアに選んでもらったワンピースに着替えた。


そして、今はキルアが心配だからキルアの部屋にいる。


キルアは静かに眠っている。

…あのまま意識は戻っていないのだ。


キルアの意識が戻ったら…あの事は言うべきだろうか。

いや、言わない方がいいな…


「“念”って何?」って言われそうだし。

…それに方法がアレだしな…


…しばらく考えていると、急にドアノブがガチャっと動いた。



『っ!?』



だ、誰…っ?


いきなり動いたので驚き飛び上がるヴィキ。

部屋の中に入ってきたのは…



「…ん、やっぱりそこにいたんだ、ヴィキ」


『…イルミ…さんっ!?』



まさかのゾルディック家長男、イルミ登場。

…もうギタラクルじゃないんだね。



「…そんなに驚くかなあ。ここオレの家なのに」


『ご…ごめんなさいっ』



イルミにスネたような顔をされたので謝る。

…目が冷たくて怖い…



「ヴィキの念でやったの?キルの治療。」


『うっ…は、はい。』



そ…それは訊かないでくださいよ…

ヴィキは冷や汗を流す。



「…ふーん。やっぱヒソカが見込んだだけはあるね」


『え…っ?』



キルアと同じ…でもキルアより冷たい目でイルミはヴィキとキルアを交互に見る。



「全く無防備な状態で念の攻撃を受けたんでしょ?

なのにこんな平気って普通じゃありえないよ」


『そう、なんですか…?』


「うん。キルならまあ死ななかったと思うけど、ヴィキがいなかったら息も出来ない瀕死状態だったろうね」


『え…っ』



自分が念で治療したのに罪悪感を感じていたヴィキは、イルミの言葉に驚く。


あの時の自分の判断は、間違ってはいなかったのだろうか。



「それに今回の件、親父がすごい喜んでるよ。「ヴィキの実力はすごい」って」


『そ、それは…』



…いいのか?息子がこんなになってるのに…

っていうかなんで喜んだんだろう。



「じゃあオレはここで」


『あ、はい』



イルミはなんの前振りもなしに部屋を出て行く。

…不思議な人だな…


そう思ったヴィキなのであった。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ