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□第17話
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「…ヴィキー?」



キルアの声が聞こえる。


…何?今ちょうど気持ちよく寝てたのに…。

起こさないでよ…


ヴィキは再び眠りに落ちていく。



「おい、ヴィキー?」



…うるさいなあ。


でも眠いから反応するのも面倒くさい。

おやすみ…



「起きろ!ヴィキ!」



びしっ



『痛ッ!!』



急に額に感じた痛みで、ヴィキは完全に目が覚める。


…あれ?ここは…


…そうだ、キルアの部屋だ。

オレはキルアが心配だから寝てるキルアを見てて…

…それから…


眠くなって座ったまま寝ちゃったんだ。



「おはよ、ヴィキ。」



やっと今の状況を掴めたところでキルアがにこっと笑って一言。


キルアはベッドに座っていて、ヴィキはベッドの近くの椅子に座っている。

部屋の外を見る限り、「おはよう」という時間帯ではないことは明らかだ。


たぶん寝てしまったのはほんの数十分程度だろう。



『おはよ、キルア…っとそういえば今の痛かったの何?』


「え?デコピンだけど?」


『なんでそこ笑顔で言うの…』



にこやかに言うキルアにヴィキはツッコむ。


…というか。そうだよ。今思い出した。



『キルア!!大丈夫なのっ!?』


「うわ、訊くの遅っ」


『…違う、寝ぼけてただけだから!心配してたんだから!』


「ホントかよー?」


『ほんとほんと!』



ははは…と笑って見せると、キルアも笑ってくれた。


そして、ヴィキの姿をまじまじと見る。



「服、着てくれたんだ」


『…うん。…やっぱ、似合わないよな?』


「ううん、すげー似合ってる。買ってやってよかった」


『あ…ありがと』 



キルアは起きても喋れないかも…と心配していたけど。


…この調子なら大丈夫。元気でよかった。

…あの話題には触れてくれないといいんだけど…



「そうだ、オレがやられてから…どうなった?変なこととかされてないか?」



ハッと思い出したようにキルアは訊いた。

…たぶん今起きたばかりで使用人には何も訊いていないのだろう。



『うん、大丈夫。』



下手なことは言わない方がいいな…


ヴィキは必要最低限の返事だけする。



「…そっか、よかった。…なあ、あの後どうなった?どうやってここまで来れたんだ?」



だがキルアはやはり気になるようで、質問を繰り返す。


…どこまで言っていいことでどこからが言っちゃいけないのかわからない。


オレがあの男を殺した…ってことは言うべきか。

オレがキルアを治療した…ってことは言わないべきだろう。


…念のこと以外はちゃんと話すか。



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