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□第18話
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キルアがすごく近くにいる。

…それだけでドキドキしてるのに。



「…オレな。ヴィキのこと…気付いたら目で追ってた。

今言われてわかったよ。オレ、こんなにお前が好きなんだ」



抱きしめられながらこんなこと言われたら…

もう止めるなんて、無理でしょ?



『嬉しいよ…』



嬉しいのに、悲しい。


オレ、どうなっちゃうんだろ…



消されちゃうのかな?

それとも殺されるのかな…?



…もうどうでもよくなってきた。


怖いけど、もうどうなってもいいや。


そんなことより、今の幸せを大事にしたい。

キルアにこんな風に言ってもらえたら…もう充分だよ。



ヴィキは腕の力を強める。

すると、キルアも強く抱きしめてくれる。


…幸せ。


ありがとう、キルア。



もうオレ、消されても殺されてもいいや。

今、そう思えるほど幸せなんだ。



『…ありがとう』


「ん…」



ヴィキはそう言ってキルアから離れる。


まだ熱い自分の体。

顔もきっと真っ赤だ…。



「ヴィキ。オレ今知ったよ。」


『うん…?』


「オレ、こんなにヴィキが好きだったんだな、って」



照れながらも嬉しそうに笑うキルア。


つられてヴィキも笑ってしまう。

恥ずかしいけど、幸せ。



「…じゃ、戻ろっか」


『…うん』



部屋に戻っていくキルアに続いてヴィキも中に入る。


キルアはもういつもどおりに戻ってて…

なんか…さっきまでのことが嘘だったみたいだ。



『ふぁあ…なんか安心したら眠くなってきた…』



もうキルアとは話せないかもって思ってたけど、話せてよかった。


不安が取り除かれたせいか、ヴィキは大きなあくびをする。



「ん、じゃあもう寝ろ。もう遅いしな…」



時計を見たら夜22時。

…そこそこ遅い時間だろうか。



『ごめんね…じゃあおやすみ〜』



にこっと笑って手を振ると、なぜかキルアは顔を赤くする。


…なんだ?

ただ手を振っただけだけど…



『…なに?』


「べっ別に…!ただ、今日からは…その、いつもと違うんだなって思っただけ!」



照れて目を逸らしながら言うキルア。

…こんな幸せはいつまで続けられるんだろう?



『…へへ。明日からも…よろしくな?』


「…ああ。おやすみ。」



そんな返事が返ってきてヴィキは嬉しくなる。


こんな幸せがずっと続きますように…


ヴィキは窓から見える星に強くそう願った。



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