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□第20話
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「おはようございます。
朝ですよ、ヴィキ様。」


カーテンの開く音がして、暗かった部屋に明かりが差し込む。



『嫌、あとちょっとだけ…』


「駄目です。下でキルア様がお待ちになっておりますので」



使用人さんは容赦なくヴィキの毛布を剥ぎ取る。



『うう…』



寒い…

眠い…



「おはようございます、ヴィキ様。」


『おはよう…』



しょうがないので起き上がり、ニコッと笑った使用人さんに朝の挨拶。


朝の日差しが皮肉みたいに眩しく輝いていた。


起きたばかりでボーッとしている頭をなんとか働かせ、ヴィキはベッドから出る。

部屋に洗面所がついているので、そのまま目をしょぼしょぼさせながら歩いていく。



「ヴィキ様、タオルです」


『…サンキュ』



洗顔を終え、使用人から受け取ったタオルで顔を拭く。


そして次は使用人さんが着物を持ってきてくれたので、それを着る。


もうすっかり着物にも慣れたな…

キルアに買ってもらったワンピースは二着しかないので、普段着はカルトの着物だ。


前まで着ていた男物の服はボロボロになったので、全て捨ててしまった。

もう男装をしなくていいのかと思うと嬉しい。


そんなことを考えながら、どうやらキルアが先に待ってくれているらしいので、食事をいつもしている部屋へ向かう。


…もう何度もゾルディック家で迎えた朝。

ようやく使用人の対応にも馴れてきた。


キルアに想いを伝えたあの夜から一週間ちょっと経っている。

まだゴン達とは連絡が取れていないけど、原作通りならもう一週間もすればここに来るだろう。


あのとき何も言わずに試験会場を出ていってしまったから、怒っているかもしれない。

でももし怒っていたとしても、キルアと二人で謝ろう、と一緒に決めた。


たぶん怒っていても謝れば許してくれると思うけど…

じゃないと話が進まないもんな。


きっと、前にオレはこの世界の人間にしてもらえたからもう原作が壊れるような危険はないと思う。

そう思うと結構気が楽。


前まですごい気を使ってたからね。


早くゴン達来ないかな。

原作通りだと、外の庭を守ってる使用人さんと戦うんだっけか。



早くまたゴン達と、キルアと前みたいに一緒に笑いたいな…

そう強く願う今日この頃。



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