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□第22話
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「…なあ」


『ん』



真っ暗なゾルディック家の広い庭を歩いて早40分。

もうすぐでゴン達のいる執事用の建物に着くはずだ。



「オレさ、さっき…親父と話をしたんだ」


『うん』



原作にもあった…

シルバさんとキルアの誓いの場面か。


すぐにヴィキは原作を思い出す。

ちゃんと原作通りに物語が進んでいることがわかり、内心ほっとした。



「…で、そこで話してちゃんと言わなきゃって思ったんだ。
ヴィキ。オレと…」



そう言って急に立ち止まったキルア。

ヴィキも立ち止まり、キルアを見つめた。


月明かりに照らされたその目は真剣そのものだ。


キルアはヴィキを真っ直ぐに見据えると、言った。



「オレと一緒に、来てくれないか?」


『え?』



なにをそんな今さら。

そんな真剣に聞くことじゃないだろ。



「…。」



返事を待っているのか、黙るキルア。

そんな彼がたまらなく愛しく感じた。


だから。



『当たり前だよ。
ずっと、死ぬまであなたについていきます』



そう言って、ぎゅっと抱きしめた。



「…サンキュ。」



それは、今まで聞いたキルアの声のなかで、一番か二番目くらいに嬉しそうだった気がする。

そんなことを考えていたら、背中に手をまわされる。



「じゃあオレは…
お前を死ぬまで幸せにしてやるよ」



ぼそっと、そう言った。


嬉しくて、嬉しすぎて。

自然と頬が緩んでしまうのが自分でも安易にわかった。



『…ありがとう』


「親父と、約束したんだ。
大切な人を裏切らない、愛する人は…守って幸せにしてやるって」



あれ?

原作より、増えてる…


嬉しい増え方。

ほんとに、嬉しい。



『キルア…ありがとう、嬉しい』


「うわっ恥ずかし…」



かっこいいこと言ったと思ったら、いつものキルアに元通り。

今回は相当頑張ってくれたよね。



『ね、もう一回言ってよ』


「…言うかよ、バカ」


『ケチ…』



膨れっ面をしてみせると、キルアは笑いながら私の手を引いた。



「おい、ゴン達に会いに行くんだろ?早く行くぞ」


『あっ誤魔化すなっ』


「うっせ、先行くぞ?」


『あーっ待て待て』




こうしてゴン達との再会の瞬間は刻一刻と近づいていった。



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