Story
□飲酒
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今、田島はオレの太ももを枕にして寝ている。何故、こんな生殺しな格好になってしまったのか。
事の始まりは、ほんの一時間程前の事。
いつものようにオレの家に遊びに来た田島は、何故か、ビニール袋を持っていた。(いつも手ぶらなのに)
「何買ってきたんだ??」
「ん??買ってきてないよ、家から持ってきた。」
目を細めて笑う。そして、オレの真ん前に袋をバンっと押し付けた。
「おみやげっ!!早く部屋行って飲もうぜ〜、喉渇いちゃった」
オレより先にオレの部屋に進んでいく。
まて、先行くなよ、と後を追いかける。
袋の中を見ると、『ビール』と書かれた缶が二本。よくみると、さきいかまで入っている。
「ちょ、田島、何持ってきてんの?!!」
「何って、ビール??」
「ビール??じゃねぇだろっ!!オレらまだ未成年なの、子供なのっ!!」
「子供じゃないだろ、身体はとっくに……。」
「だぁーっ!!?年齢的に言ってるんだよ、バカッ!!」
自分の部屋のテーブルにガンっと置く。待ってましたとばかりに素早く袋から缶を取り出し、プルタブをあけて、一口含んだ。
「あーっ??!」
「(ごきゅ、ごく、ごく。)っぷはぁ、うまぁいっ」
どっかの中年オヤジみたいな飲み方だな。それでも16か、このヤロー。そして再び、ゴクゴク、ゴクゴク。
やはりアルコールなので、段々と頬は赤く、目は潤んできた。少し上を向いてのどを鳴らしながら飲む姿は正直、目の毒(身にも毒??)だ。
(オレは麦茶のも・・・。)
立ち上がってとりに行こうとした。
がしっとうでをつかまれ、何事かと思って腕のほうを見ると田島(目はウルウル、頬赤い、上目遣い)がいた。
・・・・・・・・・・・・はい??
「んにゅーっ。何処行くの??何処にも行かにゃいで・・・。」
「?!!!いかにゃっ?!」
まだ半分くらいしか飲んでいないはずなのに、もうこんな状態になったのか?!!
酒弱いんだ〜、あはは、かわいいなぁ、このぉー♪
じゃねーよっ!! この状態はやべぇよっ!!
心なしか田島の体は熱く、完全に酔っ払ってしまったらしい。猫のように腕に絡みつき、時々「ん〜」とかわいくうなる。
「だいじょーぶかぁ??」
「らいひょーぶ!!らって、はにゃいがいるからねっ!!」
そのまま腰にうでをまわされ、ギューっと抱きつかれた。そして、顔だけ上に向け、にへへ、としまりの無い顔で笑った。
「・・・・・っ。」
そして、そのまま、倒れこんだ。
「?! おいっ?!」
どうやら酔いが回って眠ってしまったらしい。
ふぅ、と一息。そのままコップと水を急いで持ってきて隣に座る。頭をなでてやると気持ちよさそうに口元をほころばす。
「〜〜〜。」
オレの太ももにガツンと頭を乗せてきた。オレはびっくりというか、ハラハラしていた。(オレ自身つらいから)
小さい子をあやすように頭をなでていると、寝息に混ざって声が聞こえた。
「は、ない・・・。」
「ん??どうした??」
「んにゅ。だいしゅき、だからな・・・」
「んなっ?!」
さっきのはどうやら寝言だったらしい。
それにしても。
「まったく。不意打ちだよ、ばか。」
独り言のようにつぶやく。
「どれだけ俺のこと煽れば気が済むんだ、コイツは・・・。」
そして田島の寝顔に顔を近づけて額に軽く唇で触れた。
(あ・・・。マジでどうしよう。どかすにどかせないよな・・・。)
オレは一人、ある重大な問題の解決方法に頭を抱えていた。