その他 小説
□闇
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一体この空を見るのは何度目だろうか。
見飽きた、嫌な色だ。
男はそう思っていた。
(俺は、――)
あの戦いで解らなくなってしまった。
自分が、何をしたかったのか。
自分が、何の為に動いていたのか。
何が一体―――
「――解らん」
何かさえ、覚えていない。
自分は、本当にもう何もかも無くしたのだろうか。
空を見ながら、男はそう考えていた。
ふと、後ろに誰かがいる事に気がついた。
今まで気付かなかったのは、敵意が全く感じられなかったからだろう。
「…………おにいさん」