獣の奏者エリン 小説

□全てを含めて君は
1ページ/7ページ







「あれ?」



イアルが恋人としてエリンの所に来ていた、ある日の事だった。


「どうした?」


外に行って戻ってきたエリンにイアルが問いかける。

エリンの手には一枚の紙切れ、手紙が握られていた。


「あ、いえ。手紙が来てたんです。
急ぎの用事だったら困るから、ちょっと向こうで見てきますね」

「ああ」

エリンが隣の部屋へ行き、しばらく沈黙が続く。

イアルが黙って待っていると、


「ん?」


エリンが行った部屋で、椅子がちょっと大袈裟に揺れたのをイアルは聞き逃さなかった。


ちょっと位なら座ったりしただけの音だったのだろうが、僅かに聞こえる慌てた声。

それにさっきの音は普通より少し大きかった気がイアルにはした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ