獣の奏者エリン 小説
□君の向く場所
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ここはカザルム王獣保護場。
ここで、一人の乙女を巡り何かが始まろうとしていた。
「………最近、エリンが一月に一度くらいどこかに行くのは知ってますか?
街に出るって言って、外出許可をもらってから」
「一応ね。
……君は、堅き盾のイアルという腕のたつ物静かな男は知ってるかい?」
「はい一応」
「……どう思う?」
「………エリンはどうしていないんですかね、今日も」
「それはあれだろう、堅き盾のイアルとやらに会いに行ったんじゃないかい」
「………」
「………」
「…困りましたね」
「…そうだね」
全ての発端は、もちろんここである。
これは二人、トムラとキリク意外は誰も知らないままに始まった。
エリンをイアルから離してうまくいけば振り向かせよう大作戦の始まりである。