■エイズの症状と経過

1、急性感染期

HIVに感染して1〜2週間程度で、全身倦怠、発熱など軽い風邪に近い症状に加え、突然の全身性の斑状丘疹状の発疹(maculopapular
rash)や複数の部位のリンパ節腫脹が見られる。また発疹や口腔カンジダを生ずる場合も多い。しかし、こういった症状に気付いても単なる風邪や蕁麻疹、口内炎として見過ごすことも多く、また症状が出ず気づかない人もいる。これらの症状は感染者全員に見られるものではないため(感染してから2-12週間の間に、60-80%の人が急性症状を示すという報告がある。、感染機会があった直後にこれらの症状があったからといって感染したと判断するのは早計であり、単なる風邪である場合もあるため注意をしなければならない。
多くの場合、2-4週間に急性の症状を示すが、ごくまれだが10か月後に示すことも報告されている。
そのため、感染の有無は、血液検査をしない限り判断することはできない。
その一方でウイルス量が急激に増加し重症化する例も確認されており、多発性神経炎、無菌性髄膜炎、脳炎症状などの急性症状を示す場合もある。しかしながら、これらの症状はHIV感染症特有のものではなく、他の感染症や疾病においても起こり得る症状であることから、症状だけで判断することは困難である。重症例を除き、これらの症状は1週間から長くても2〜3ヶ月程度で収まっていく。







size=2>感染後、数週間から1か月程度で抗体が産生され、ウイルス濃度は激減する。一般のHIV感染検査はこの産生される抗体の有無を検査するため、感染後数週間、人によっては1ヶ月程度経過してからでないと十分な抗体が測定されないため、検査結果が陰性となる場合がある

2、 無症候期

size=2>多くの人は急性感染期を過ぎて症状が軽快し、だいたい5〜10年は無症状で過ごす。この間、見た目は健康そのものに見えるものの、体内でHIVが盛んに増殖を繰り返す一方で、免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞がそれに見合うだけ作られ、ウイルスがCD4陽性T細胞に感染し破壊するプロセスが繰り返されるため、見かけ上の血中ウイルス濃度が低く抑えられているという動的な平衡状態にある。無症候期を通じてCD4陽性T細胞数は徐々に減少していってしまう。

size=2>またこの期間に、自己免疫性疾患に似た症状を呈することが多いことも報告されている。他にも帯状疱疹を繰り返し発症する場合も多い。

無症候期にある感染者は無症候性キャリア(AC)とも呼ばれる。

3、 発病期

size=2>血液中のCD4陽性T細胞がある程度まで減少していくと、身体的に免疫力低下症状を呈するようになる。

color=#ff0000>多くの場合、最初は全身倦怠感、体重の急激な減少、慢性的な下痢、極度の過労、帯状疱疹、過呼吸、めまい、発疹、口内炎、発熱、喉炎症、咳など、風邪によく似た症状のエイズ関連症状を呈する。また、顔面から全身にかけての脂漏性皮膚炎などもこの時期に見られる。大抵これらの症状によって医療機関を訪れ、検査結果からHIV感染が判明してくる



size=2>その後、免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞の減少と同時に、普通の人間生活ではかからないような多くの日和見感染を生じ、ニューモシスチス肺炎(旧
カリニ肺炎)やカポジ肉腫、悪性リンパ腫、皮膚ガンなどの悪性腫瘍、サイトメガロウイルスによる身体の異常等、生命に危険が及ぶ症状を呈してくる。また、HIV感染細胞が中枢神経系組織へ浸潤し、脳の神経細胞が冒されるとエイズ脳症と呼ばれ、精神障害や認知症、ひどい場合は記憶喪失を引き起こすこともある。最近は医療技術の進歩でエイズ死亡率は下がってきたが、なおエイズによって引き起こされる日和見感染症は、最終的に死に至る病気であることには間違いない。



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