ガラクタは夜遊ぶ

□幽霊の本分
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おやおや

何だか気付いたら。

……進藤ヒカル君に成っているようですね?



「…………ヒカル…?どうしたのですか?」

突然 動きを止め黙考し始めた私を訝しむ様に、背後に佇む幽霊が声を掛けてきた。

「――――背後霊さん。」

背後霊ッて……っ。

と、
衝撃を受けて心持ち退けぞっている幽霊に目線を合わせ、
向かい合う。


「失礼しました。
これで背後霊ではないですね。
…貴方の事は何とお呼びすれば?」

存じてはいますが、まさか初対面の相手の名前をいきなり呼び捨てする訳にはいきません。


「ヒ……ヒカル?」

戸惑うように首を傾けると、長い艶の有る黒髪がさらりと肩を流れた。

幽霊になっても髪の毛は揺れるのですか。

艶が出てると云う事は陽の光が……というより、その存在を
こうして知覚出来るということは、光の屈折があると云う事でしょうか?

ならば、なぜ認識出来る者と
そうでない者が居るのでしょうか。


そして気になるのは衣服を纏っている事です。

自分の一部では無いのに再現
出来るのですか。

その選択は任意で行えるものなのでしょうか。

着脱は可能でしょうか。

ようような疑問はさておいて、
魂のみが現世に残っていると致しましょう。


その姿形は本人の記憶に寄るものなのか、大いなる何かに寄るものなのか。

記憶に寄るならば、多分に
美化している可能性も否めませんね。


…………一体どういった法則で存在しているのでしょうか。



不思議です。





「ヒカル……。」


この人先程から『ヒカル…』としか言ってませんが、どれだけこの子が好きなんでしょうか。

困りましたね。

ショタコン幽霊と寝食を共にするのは些か心配です。

この子の将来の為にも。

おやおや泣きそうですね。

泣くのですか。

それは何だか観てみたいものです。









幽霊が溢すは一体何処にいくのでしょう。











興味深く観察していると、胸の底がチクンと痛む。

―――――――ヒカル君…?

小さくため息を付き、
口を開く。




「佐為。」


途端にいつの間にか俯いていた背後霊さんが、弾かれ様に顔を上げた。


「な…何ですか、もうっ!
まるで、初めて会ったみたいに、いきなり言い出すから」

びっくりしました〜。

と続けようとした科白を途中で遮る。




「初めまして。ですよ?……幽霊さん。」


この囲碁漫画は随分評判になっていた様なので、興味を持って私も読んでいました。

だから、一方的には存じていますが、それは知り合いとは言いませんしね?




病院でたった一人隔離されて、何もする事が出来なかった。

許されなかった。


差し入れられた、限られた漫画や本を
繰り返し繰り返し読んで………………


結局、この漫画は 塔矢アキラが桜吹雪の中、電波な事を言いながら ヒカル君をナンパしに来た所で止まってしまいました………………。




だから。




こうして その続きを知れる事が



うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくてうれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて うれしくて









貴方は囲碁が出来てうれしい。







私は 生きる事が出来てうれしい







はじめまして こんにちは

いっしょ いっしょ
ずっといっしょに


なかよく しましょ?












了。








( 幽霊 の 本分。 )

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