ガラクタは夜遊ぶU

□この頃はやりの女の子
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 おーぷにんぐ!

全世界に存在する全ての少女がいつでも準備万端と思ったら大間違いだ!
言わせて貰おう…この、変態ジジィィィイイ!!





 ものろーぐ!


ここ、小豆島は極東ジャパンに属する、車で二時間もあればクルッと一周出来てしまう本当に小さな島。
勿論本当にクルッと廻ればの話で、名産のオリーブ畑やお香体験やハーブ園を観て回り、実は24の瞳の映画撮影もされた。
その後壊される予定だった映画のセットをそのまま取り置いて、貴重な観光資源としている。その時 主演女優が泊まった所が島一番のホテルはおっきくて綺麗で、リゾート気分を盛り上げてくれる。
四国巡礼の神様もいるから、巡礼の人は本土から二時間かけて島に渡れという鬼畜さ。
だけどそれより何より此所にはもっと重要な物がある。

無限エネルギー供給エンジン

読んで字の如く名は体を表す。無限にエネルギーを供給し続けられるエンジンがある施設がこの海に囲まれた瀬戸内の島に存在し、住人は毎日この塔の形をした施設を朝日と共に眺めている。ついでに拝んでいる。
たった一人の天才が独学で独自の理論を練りに練って、嫁が出来て娘が出来て孫娘×2が出来た頃にそれは完成した。
その孫娘は私で、つまり一人の天才はウチのお爺ちゃんで、内緒だけどちょっとばっかし尊敬なんかしちゃってる。

無限なものだから他者に与える分は売るほどあって、まず石油資源で潤ってたの国が大暴落して、ついで天然ガスを堀当ててた国にガタが来て、バイオエネルギー研究は頓挫した。
経済を制する者が世界を制す。
つまり世界のパワーバランスは一気に塗り代わりこの小さな島は世界の中心になったのだった。

それが、五年前の話。


で 今現在 衛星を通し全世界に無料でエネルギー供給が可能になった結果、資源を求めての争いは大幅に減り一見平和な時代が訪れた。
勿論争いの種は資源争い以外に枚挙にいとまないけど、大国が介入しての代理戦争…なんてのは無くなった。
ワザワザ人の国に出掛けて行って国民と資金を投入してまで得られる利益が無いから。
ハイリスク・ローリターン。殺し合うなら御勝手に…
ひと度紛争が始まれば近隣諸国は物理的にバリケードを築き終了まで完全包囲。物資援助も一切なし。人道的な見地から言えば対岸の火事で見物は酷い話だけど、ちょっと考えて欲しい。
自分の親が、子供が恋人が友人がのこのこ出掛けて行って無意味に殺されたとしたら… 物資不足でさっさと終わらせてくれた方が合理的。
口には出さないけど 一部の『本物の良い人』を除き、まぁ皆似たような考えだった。

しかし厳然たる力関係が発生した。エネルギーの供給は無償。(ただし、メンテナンス等の管理費は除く)要はこれに頼りきってる限り幾多の国々は属国になるも同然だった。何故ならばひと度極東ジャパンの御機嫌を損ねたら、途端にエネルギーが止められる…『可能性』があるから。
やんわりはんなり半笑いの日本人がそんな事する訳ないよー。…たぶんね。

エネルギー戦争を経験したお年寄り達は今をいい時代だと言っている。わたしも、そう思ってる。


わたし 一色霞 小学三年生。
湯水の如く研究に金を注ぎ込む祖父と中学生の姉と入院中の母を抱えて日々家計と戦っています。余談ですが。


 姉が魔法少女です。



2013 1 13
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