novel
□プロローグ 高校生編
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「…ぅう、…」
ひもじい。目が回る。此処は何処だ。
余裕もって出て来たのに…。
結局迷子になってるし…。
「ったく誰だよこの地図描いた奴!ちっとも分かんないし!」
半日以上歩き通しなのに目ぼしい建物が見当たらないのは、やっぱり迷子か、もしくはこのチラシが悪戯か。せっかく見付けたバイトだと思ったのに、俺ってばつくづくついてない。
腹は減るし。
腹は減るし…。
腹は、減る、し……。
「…は、……腹……っ…」
人間は水だけで生きられるって聞いたけど、俺絶対無理だ。だって実際、今日は水しか飲んでない訳で、こんなに目が回っている訳で、もう、限界。
グラリと視界が揺れて人混みの中倒れそうになった時、誰かの服を掴んだ気がした。最後に見たのは白いシャツと旨そうなハンバーガー。
微かに聞こえる人のざわつき、そしてヒヤリとしたものが首筋に触れた。それらを最後に俺の意識は途切れた。
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