novel
□明暗吉日
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「あれ?おかしいな…どっちだ?」
学校が終わった瑞季はその足で屋敷へと向かっていた。確かこの辺りだと歩いてみても、一向に辿り着けない。焦り始めた瑞季の肩に誰かが手を置いた。
「あ!アズキさん!」
「やっと見付けた、もしかしてミズキちゃん方向音痴?」
クスクスと笑うアズキに瑞季は苦笑いをして見せた。アズキが歩く道筋はさっきも歩いた場所だったが、違うのは細い脇道があった事だ。
こんな道あったかな、と思いつつも瑞季はアズキに着いて行く。
「そういえば、昨日大丈夫でしたか?具合悪そうだったけど…」
「え?アハ、大丈夫大丈夫。心配してくれてたの?優しいね、ミズキちゃんは」
背後からの問いに、アズキは振り向き様目を細めて笑った。そう言われて照れたのか、顔を赤くした瑞季の頭をポンポンと軽く叩くと、また背中を向けて歩き出した。
自分より背丈があり、綺麗な顔立ちに少なからず瑞季は羨ましく思っていた。そのせいか、不思議と緊張してしまう。でも、嫌な緊張では無いと瑞季は感じていた。
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