SS

□雪山
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今回派遣されてきた先は雪山。
運よく吹雪く前に山小屋に非難はできたが、この状態では迎えのヘリも来れない。
吹雪が収まるまでここで一夜を明かすことを余儀なくされたスネーク率いる部隊一同。


そして本来ならここにいるはずのない人物も一人。
「いいか〜、寝るなよ〜。寝たら死ぬぞ〜。薪なくて火がおこせないからな!」
いつもは本部でサポートについているカズだが、今回は交渉のために着いてきていた。
交渉も終わり一足先に帰ろうかという矢先に吹雪かれてしまったのだ。
「……カズ。なんだかお前の物言いは余計眠くなる」
「そうか? じゃあついでに子守唄でも歌ってやろう♪」
「あぁそれはいい。お前の子守唄は目が覚める」
「……やぁ〜めた」
「しかしこのままでは本当に寒いな。凍える」
その時奥でごそごそとやっていた兵士がいいものを見つけた。
「ボス!毛布がありました!」
「でかした!」
「……ただ、人数分はありません」
「何組ある?」
「半分しか……」
「それだけあれば十分だ。よし、二人一組で毛布にくるまれ。
そうすればお互いの体温でより暖かいだろう」
「は〜い」
いいお返事でそれぞれ兵士たちが二人一組で毛布にくるまりはじめた。
これならヘリが到着するまで持つだろう。
さて自分も誰かと毛布に……と辺りを見回すと当然のようにカズが手招いた。
「スネーク。ここあいてるよ〜」
それはもうにっこにっこと超笑顔。
なんだか嫌な予感がした。
大抵こういうときのカズは何かいたずらをしかけてくる。
そろそろと近づきばっと毛布をめくる。
「あっ」
「なっ!?」
毛布の中にはいつのまに持ってきたのやら氷柱の山。
「ちっ、ばれたか……ホラ、寒いでしょ? 綿つめてあげますからこっちきなさいよ」
「それ雪だろ、雪!! 何考えてんだ!」
「むか(ぷち)」
あ、なんか切れた音した。
油断していたせいか気が付いたら一本背負いで外に放り出された。
「ぎゃ〜〜〜〜〜!!!! 何するんだぁ!!!!」
「ボスが言うこと聞いてくれないからおしおきだ」
「わかった!わかったから中に入れろ!入れてくれ!」
「……仕方ないなぁ。今度はちゃんということ聞いてくれよ」
かわいらしく小首をかしげてにっこり笑って手を差し伸べるカズ。
悪魔だ。悪魔がいるよ。綺麗な笑顔ほど恐ろしいものはない。
「やれやれ、お互い服が雪でびしょぬれだ」
お前のせいだろ、お前の。とガチガチ身体を震わせるが怖いので言わない。
「ボスもすっかり身体が冷え切ってしまったな。このままでは肺炎になる。
よし、服を脱いでくれ」
「………………」
「大丈夫。もう放り出さないって。俺もこのままじゃ冷たいから脱ぐし……」
「本当だな?」
「神に誓って。ホラ入って」
確かに今度は毛布の中には何も入れていないようだ。
下着一枚でお互い毛布に包まる。
ふぅ。
ようやっと落ち着くがまだ油断は出来ない。
なにしろカズの横顔ときたらより一層笑みが深まっているのだから。
ちなみに、こいつは怒ったりイライラすればするほど笑うタイプらしい。
最近知った。
いつものヘラヘラ笑いとは違う笑いがでたら要注意だ!と今度兵士たちに教えといてやろう。
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