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□後の祭り
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「ボスぅ〜、なんとかしてください」
「って言われてもなぁ」
毎月恒例の誕生日会。
まぁ中身はただの飲み会だ。
最初のうちはあちらこちらに気を配っていた副指令ことカズヒラ・ミラーもこっちで飲まされあっちで飲まされしているうちにすっかり泥酔してきたらしい。
きちんと着込んでいたはずの野戦服はどっかに脱ぎ散らかし今は下着一枚で兵士達の何人かにからんでいる。
「おぃ、カズぅ。いいかげんにしてやれ」
「んぁ?……なんだ、ボスか」
「もうやめとけ。水飲め」
「そんなん飲みたくなぁい」
「カズ!」
らちがあかないので腕をとり無理矢理立ち上がらせる。
服は仕方ないのでまわりにいた兵士達に後で持ってきてくれるよう頼み、カズを自室に連れていった。
「ほら、水飲め」
「むぅ〜……」
「あとせめてTシャツ着ろ。腹、冷やすぞ」
「着せて〜」
「はぁ?自分でやれ」
「ケチ〜……」
真っ赤な顔をして上目づかいに睨んでかわいいのは女の子の特権だ。
大の男がやったってかわいくない。
断じてかわいくないんだからな!
「……しょうがねぇな〜ほら、これでいいか?」
適当にクローゼットからTシャツをとると、カズの頭からズボッと被せた。
カズはされるがままになっている。
半分もう寝ているのかもしれない。
「ありがと〜……へへへ、ボス大好き……」
「ん?なんだって?」
いきなり日本語で言われたので何を言われたのかわからなかった。
しかし俺の腕にしがみつき額をこすりつけてへらへらしているので悪いことではなかったのだろう。
「もういいから寝ろ」
「……ん、もう行っちゃうの?」
「着せてやったろ」
「ここにいてよ」
「おいおい……」
腕を引かれてベッドの端に腰を下ろす。
「いて……」
「なんだ、どうした?甘えたい日か?」
「スネーク……」
「お……」
首に腕がまわり引っ張られる。
カズからこんなふうにキスをねだってくるなんてめずらしい。
せっかくのお誘いに乗らないなんて男じゃない。
覆いかぶさって一度着せたTシャツをめくりつつ、今まさにキスせんとしていた時。
「ミラーさん、服持ってきま……」
あぁ、そういえばさっきそんなことを頼んだっけ。
カズはといえばいつの間にか寝入っている。
つまり今の状態は寝ているカズを襲おうとしている俺の図なわけで……。「あの……送り狼はどうかと……いや、俺何も見てません!見てませんから!失礼しましたっ!」
あぁ、鍵かけておけば……と思っても後の祭りである。



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