☆弐万打記念

□go by looks
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デスクワークに夢中になっていると視線を感じた。
恐らく同じ部屋でデスクワークに勤しんでいたスネークが作業に飽きたのだろう。
まぁ、慣れない仕事に集中力が続かないのは仕方ない。
しばらくは放っておこう、と思ったのだがあまりにじっと見られるので気になって顔を上げた。
「ボス?」
「……ん?」
「なんだ?」
「何がだ?」
「いや、……さっきからずっとこっち見てるから……」
「あ〜……すまん。ちょっと見惚れてた」
「へ?」
「ライトに照らされてる横顔が綺麗だなぁと……」
「な、何言ってるんだ!」
たまにスネークはこうやって素でこんなことを言う。
たとえばコレが明らかに口説こうとするような下心のあるものならいかようにでも流せるのだがスネークは天然で何も考えずに言っているから困る。
やはり今回も特に他意はなかったようでおもむろにまたデスクに向かい始めた。
カズヒラも少し気を落ち着けてからまた仕事に没頭することにした。



お互い仕事も終わり二人でのんびりコーヒータイム。
些細なこの時間がカズヒラは結構気に入っていた。
何を話すでもなくゆっくりと流れる時間。
しかしふと先ほどのことを思い出しカズヒラはスネークに話しかけた。
「スネーク?」
「ん?」
「スネークってさ……もしかして……結構面食い?」
「ん?俺がか?」
「そう。うぬぼれるわけじゃないけど……まぁ割と俺も女の子にはモテるほうだから悪くはないと思うし。パスとかセシールとか博士とか……あ、この間フルトンしてきた捕虜の女の子、美人だったな。
っていうか、MSFにいる女、割と皆美人じゃない?」
ちょっと不機嫌にスネークが連れ帰った女性陣を思い浮かべる。
美人やかわいい女の子は大好きだけど……スネークが関わると面白くなくなるのは何故だろう?
「そりゃお前が率先して喜んでることだろ」
「いや、そりゃまぁね。美人が多いにこしたことはないし嬉しいけど……」
「けど……なんだ?」
「けど……もしも。もしもの話だけど……」
「?」
「あの時、同じシチュエーションで俺が同じことをして同じことを言っても……もし俺が貧弱で見栄えの悪い男だったりしたら……スネークは俺を拾った?」
「初めて会ったときのことか?」
カズヒラはただコクンとうなずく。
「当たり前だろ?もちろんスカウトしただろうさ」
「……本当に?」
「……た、たぶん」
何故かスネークらしくなく歯切れが悪いがそれが本音なのだろう。
きっとスネーク自身にもわからないのだ。
「うん、一応信じる」
「一応か……」
「でも……もし違うとしても今はこうして側にいるんだ」
「カズ……」
「本当は自分の容姿好きじゃないんだけど……もしスネークが気にいってくれたんなら、俺はこの顔に感謝しなくちゃ」
「顔、か……」
スネークは何かを思い出そうとするように天井に目を向けた。
「あながちお前の言っていることは間違いじゃないのかもしれんな」
「ん?」
今度はカズが聞き返す。
「確かにまず心打たれたのはお前の侍としてのプライドと潔さだったけれど……あの時のお前の目に惹かれてなかったかといわれたら否定できない」
「………………」
「あの目を向けられなかったら……あの場でお前を殺して楽にしてやれていたのにな」
「俺が今の状態に後悔しているとでも?」
「……俺にはわからん」
向かい側に座っていたソファからスネークのすぐ側に座る。
「スネーク、さっきも言ったろう?あんたがそう言ってくれるなら俺はこの目に感謝する。本当だ」
「あぁ。俺もお前でよかったと思うよ」
「ねぇスネーク」
少し甘えるようにスネークの膝に乗り上げる。
スネークはそんなカズヒラの頭を抱えるように髪を梳く。
「俺が自分を好きになれるように……スネークが好きなところ教えて」
「そうだな……このフワフワの金髪を撫でるのは好きだな」
そういって優しく髪を撫でる。
カズヒラはそれに満足そうに目を細め先を促す。
「それから?」
「白くて滑らかな肌は触り心地がいい」
頬をすっと指が撫でていく。
「このたれ目もかわいいと思うぞ?」
「本当?」
「あぁ、赤くて小さい唇は吸い付きたくなる」
「ふふっ、くすぐったい」
唇を撫でる指に肩を揺らす。
「あとは……いつも姿勢のいい背中とか」
背骨を辿るように背に回された手のひらがゆっくりと落ちる。
「かわいいお尻とか」
「お、お尻?」
「白くてムチムチの太もももたまらんな」
「ちょ!す、ストップ!スネーク!!」
太ももを抱え上げられ完全にスネークの膝に跨る格好になりカズヒラが慌てる。
「ん?お前が好きな場所を言えと言ったんだろう?」
「た、確かにそう言ったけど……」
明らかに尻や太ももを撫でる手に欲を感じる。
そんな気はさらさらなかったカズヒラは慌ててその手を押さえる。
「もう仕事も終わったんだろう?なら構わないじゃないか」
「だ、ダメ!まだマングースが書類取りにく……んぅ」
後頭部を撫でながらされるキスは甘くて気持ちよくて浸りたいが。
「…っは……だ、だからマングースが来るんだってば!」
「……ちっ」
「それにスネークだってメシ食ってないじゃないか」
「腹は減ってる」
まるでカズヒラが食い物だとでも言うようにぐいと腰を抱き寄せられるが仕事はキチンと終わらせたたい。
「あ、あとで…あんたの部屋行くから…それでゆるして」
「……わかった。煽った責任は取れよ?」
「メシ食ってくる」といって意外とそっけなくスネークは出て行った。
仕事のことを忘れ、ついスネークに甘えてしまった。
スネークが素直に食事に行ってくれたことにほっとしたのも事実だが、強引に来てくれなかった事もちょっと残念に思う。
わがままだな、と思いつつカズヒラはマングースにコールした。




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