物語

□いつか…(王子リム)
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「わらわの夫は自分で決めるのじゃ」




あれから7年。
すぐにでも戴冠式をすると言うたのに、まだ…



「姫様はどぉいった方がいいのですか?」
「だから何度も言ったであろう!?兄上のように強くて優しい……」
「でも、今のところはそのような方いらっしゃいませんねぇ?」


こんなことばかり言うておるから…
闘神祭もやりとうない。
またあのような事を繰り返さないためにも。
















「姫様?本日トラン地方より使者の方々が来て居られますが」
「通せ、ルセリナ」
「はい」

入ってきたのは数人の男性。

「初めまして、本日…」
「筋書きは要らぬ、用件を言うがよい」
「はい、実はリムスレーア様に折り入ってお話が…」


























パタパタパタパタ。



「姫様〜そんなに走りますと転びますよぉ」

ミアキスの言葉が聞こえていないのか、リムは太陽宮の廊下を走っていく。


嫌じゃ…嫌じゃ!
わらわの夫は…





ポスッ。

「っと、リム?どうしたんだ?」
「兄上……あにうぇ…‥」

リムは泣く。
リュイは訳が分からずただただ慰めるのみ。

「姫様〜」

リムから少し遅れてミアキスが走ってきた。
ミアキスの顔は不安に満ちている。

「リュイ王子…」
「ミアキス、少しリムと2人きりにしてくれない?」



2人はリュイの部屋に移動し、ベッドに座った。

「リムどうしたんだい?」

「兄上は…兄上はわらわに戴冠式を行なってほしいか?」
「……………してほしいよ、いつかはリムが女王にならないといけないからね」
「…そうか、すまぬ」

リムはまた走りだした。
泣きながら、今度は自分の部屋へ。




コンコン。

「姫様…」
「ミアキスか、少し1人に…」
「ダ、ダメです!今は」
「誰じゃ?」

リムの部屋の扉が勢い良く開く。

「リュイ王子!?」
「あ、兄上?」

急いだのか、リュイの体からは大量の汗が流れ落ちる。
息を切らし女王騎士の服も乱れていた。




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