物語
□吸血鬼とお姫様(王リム)
1ページ/5ページ
「そなたは誰じゃ…」
「姫様!!」
「また、次に会うときは必ず………我が妻よ」
「おはようございます姫様」
「ミアキスか…おはようなのじゃ」
昨晩の出来事。
見た事のない銀色の髪をした男。
急に部屋に押し入り、わらわに何かをしようとした。
ふぅ、あやつは何者じゃ。
「あの者、わらわのことを『我が妻』と言っておったの」
「ですね、また姫様は良い殿方とは出会ってませんからねぇ」
「まったくじゃ……って、何を言っておるか!?」
ファレナ女王国次期女王、リムスレーア・ファレナス。
現在彼女は16歳。もうそろそろ戴冠式をしないといけないがミアキスの言う通りリムにはまだ男性の影らしき人は見当たらない。
「そろそろ本当に見つけないと…」
「だから俺にしとけって言っただろ」
急に声がした。
視線を向けるとトーマが立っていた。
「おぉ、トーマか視察ご苦労であった」
ロードレイク出身の少年。
6年前視察を兼ねてフェリド、アルシュタート、リムスレーアの3人で水がきれいと言われていたロードレイクを訪れていたことがあった。
その時トーマて出会い、友達になった。
でもその間リムが野党にさらわれる事件があったが、見事フェリドが救い出す。
それを見たトーマは女王騎士に憧れその日の内に女王騎士見習いとなる。
それから数年後、女王騎士のリオンに続く最年少女王騎士となった。
「たく、戴冠式の相手を俺にしておけばこんなことにはならなかったと思うけど」
「あいにくわらわは、自分の決めた相手以外とは結ばれたいとは思わぬ」
トーマは『うっ』という顔をし反撃する言葉も見つからずその場に立ちつくした。
「わらわは、公務に戻る。そなたもゆっくり休むがよい」
リムはスタスタと部屋を後にした。
護衛のミアキスも後をついて行く。
「ここからはよい、外で待っておれ」
「は〜ぃ、何かあったら呼んでくださいね」
リムは部屋に入り椅子に座り一息。
「まったく、奴は何者じゃ」