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□手と心のマジック
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1月、正月だからと絵羽達長女家族は六軒島へ帰省してきた。
「絵羽さん達が親族会議以外でいらっしゃるのは珍しいですね。」
「そうねぇ、たまには良いかなと思っただけよぅ。気まぐれよ、気まぐれ。」
「…気まぐれ、ですか。」
「夏妃姉さん、今日の使用人は誰がいるのぅ?」
「今日は源次、嘉音、熊沢、郷田ですが。」
「そう。じゃあ…嘉音くんで良いわ。この荷物を部屋へ運ばせといて。」
「分かりました。では使用人室へ電話します。」
「あ、それと夏妃姉さんはこれから暇ぁ?体調も大丈夫ぅ?」
「え?あ、はい、予定は特にありませんし、今日は頭痛はしませんが…」
「それなら散歩に付き合ってちょうだい。」
絵羽は半ば無理矢理夏妃を外へ連れ出した。
「外はやっぱり寒いです…。」
夏妃が言うと絵羽は「そうねぇ…」と呟いた。
「やっぱり冷えるわね。雪も降ってるし…。」
「屋敷に戻りますか?」
「いえ、寒いけどもう少し眺めていたいわ。付き合いなさい?」
「…分かりました。」
夏妃が絵羽の横へ行くと絵羽は夏妃の手を握ってくる。
「ぇ、絵羽さんっ、冷たいです!!」
「…夏妃姉さんの手は暖かいわぁ?」
絵羽はその温もりが心地いいのか握る力を強める。
「私いつも冬は氷のように手が冷たくなるのよぅ。嫌だわぁ。」
夏妃は絵羽の悩みが可愛くてくすりと笑う。
「な、なによぅ?」
「フフ、絵羽さん、知ってます?手の冷たい人は心が暖かいらしいですよ。」
「聞いたことくらいあるわよぅ。」