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□魔女のきまぐれ
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魔女の気まぐれ
ある喫茶室で、一人の魔女がチェス盤を前にして呟いていた。
「はぁ、退屈よのぅ…退屈は魔女を殺してしまうと言うに…」
魔女は、ため息をは宙をみあげていた。
「何か、おもしろいことはないものか…ん?」
魔女の目先にはチェス盤に並んだコマだった。
魔女はそれを見ると何か思いついたようで、口元を不気味につり上げた。
「くっくっく、そ〜いやぁ今は親族会議で集まってるんだっけぇ〜?くっくっく…あっははははははっ!!」
喫茶室には魔女の笑い声だけが響き渡っていた。
一方、右代宮家では毎年行われる親族会議のために右代宮の人々が六軒島へと集まっていた。
しかし、天候が悪くなり船が迎えに来れない状況にあった。
当然、親族も帰れずにいることにイラだっていた。
中でも絵羽は特に機嫌が悪く、昔のように兄の蔵臼とケンカばかりしていた。
「っもう、何なのよあの態度!!次期頭主だからって、バカじゃないのっ!ヘソでも噛んで死んじゃえばいいのよぅ!!」
絵羽はいつも持ち歩いている扇子を開いたり閉じたりしながら、広い廊下を一人で歩いていた。
別の所では、楼座が真里亞を探し屋敷中を走り回っていた。
「真里亞ーっ!どこなのーっ!!」
「ん?楼座ったら、また自分の子供の面倒もちゃんとみないで…」
すると、どこかから戦人の声がした。
「楼座叔母さぁーん!真里亞いましたよ!」
「全く、人騒がせなっ!?」
絵羽は下を見ていなかったため、足元にあった何かに躓いてしまった。
そこに、タイミングよく絵羽の歩いていた廊下の右角から楼座が飛び出してきた。
「真里亞っ!」
「ちょ、楼座危なっ!!」
「えっ!?」
ゴンッ
廊下中に鈍い音が響き渡り、二人は互いにその場へ倒れた。