頂き物
□成瀬さんより学パロ
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成瀬×しおり
「手が冷たい人は心が温かいんです。」
初めてしおりさんと出会ったのは図書室だった。
中学から大学までエスカレーター式の学校で、僕は特待生としてこの学校に入った
周りはお金持ちばかりで僕のような家族のいない僕はまわりから「かわいそうな子」と言われていた
でも、僕にはそんなことをいわれても傷つかなかった
もっと僕には、心に一生傷が残ることがあったのだから
だから、僕はそんな同情も聞かずに
そして愛も知らぬまま
二十代を過ごしていった
大学の講習が終わった僕は、いつもの図書室に行った。いつも使っている机にノート類を置いて本を読むため本棚に手をかけると隣から僕より一回り小さな女性が本を取ろうとしていて脚立にのってもとれそうになかった。
「何か お探しですか?」
「あの…… 神曲をお願いします……」
真っ直ぐな黒髪で色白の彼女は遠慮深く言った
「これですね」
僕は、脚立に乗り神曲を彼女に渡すと彼女は僕に頭を下げると笑顔でその場を後にした。
その日を境に僕は無意識の内に、図書室に向かっていた
彼女がいないだろうか?と目で追うようになっていた
そんなある日、僕はいつも通りに図書室に入ると彼女はいた
彼女は、僕に気づいたのかパタパタと僕に向かってきた
「先日はどうもありがとうございます」
ニッコリと笑う彼女に僕はいつの間にか笑っていた
「名前ってなんて言うんですか?」
「成瀬 領です」
「成瀬さんですか! 私の名前は咲田 しおりです」
愛とか、感情とか、そんなのどうでもいいと思っていた
なのに、この気持ちはなんだろう
感情なんか捨てたはずなのに………
僕は復讐に人生を捧げようと思っていたのに………
この僕の汚い手を優しく握ってくれたしおりさんに僕は恋をしてしまっていた
End