novel T
□存在理由
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あの日からずっと
ずっと
考えていたんだ。
自分が生きている意味を・・・
神が本当にいるのか、
いないのか、
教会に通い詰め
幾度となく問いかけるも、
マリア像の瞳が僕にほほ笑みかけることもない。
僕は成瀬領であって成瀬領ではない。
もし本当に神がいるのなら、
ひとつだけでいい。
僕の質問に答えてほしい。
どうして領の命を選んだのか。
どうして僕が生かされているのか。
親兄弟をなくし、
かけがえのない親友までも奪った。
生きることに罪悪感を、
意味を探し続けることがいかに苦しいか、
死ぬのは僕でよかった。
僕であるべきだった。
【存在理由】