novel U
□ナイーブ
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独りぼっちになったと思っていた。
家族を亡くし
身を寄せ合った親友さえ失い
こんなにも辛いのなら
もう苦しまないように
悲しくならないように
誰も愛さなければいい。
もとから孤独なら
大切な人なんて一人もいなければ
悲しむ必要はない。
僕はずっとそう思ってきた、
優しさに触れる度、言い聞かせてきた。
でも、
人は不思議だ。
何度涙を流しても
何度苦しんでも
誰かに触れたくて
手を取り合わずにはいられない。
いつか失うと知っていても
その日に怯えながら
愛さずにはいられない。
僕らはきっと愛される為に生まれた。
愛され、愛する喜びを知って
愛する為に生きる。
小さな君もいつか
誰かを愛する日が来るんだろう。
その日までは
この手の中で
【ナイーブ】