Days of Innocence
□一泊二食、入浴料込み
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そう。なにも二人は暗い洞窟を歩いているわけではない。床や壁は年季の入った木造。廊下を行った先には目的の温泉がある。
「そ……そうだよね。スパーダは温泉入ったことあるの?」
「ああ。ってか実家の風呂がもうありゃ温泉だったな。浴槽に入っちまうともう湯気とかで壁が見えなくなっちまってよ」
「そんなに広かったの?」
「ああ、無駄にってくらいにな……。でもアレはアレで快適だったぜ?一人であのでかいスペース占領する気分とか、な」
かつてのことを思い出しながら、スパーダは笑みをたたえてルカに言った。
「す…すごいんだね温泉って…!
それ聞いたら僕、すごい楽しみになってきたよ。」
さっきまでの怯えた表情とは一転、期待で胸をふくらますルカ。
「 待 て。あくまでオレの実家の話だからな?……でもま、期待はしていいだろーよ。問題はこの時間にまだ入れるかってことだな……」
「大丈夫だよ。リカルドが言ってたけど、夜の12時までは開いてるって」
「ならまだ少しは平気か……。そーいやそのリカルドはどうしたんだよ?仕事終わりで風呂に入んねーなんてことねーだろ?」
「なんか銃の手入れがあるから先に入ってろってだから多分あとから来ると思うよ」
「そーか……っと。なんだかんだ言ってる内に着いたな」
気付くと二人は、文字の書かれた紺色と赤色の暖簾(のれん)が、それぞれ掛けられた入り口の前に立っていた。
「うわあ……なんかこう……雰囲気でてるね」
衝撃を受けたたのか、ルカは目を見開いて感心している。
「どこでもこんなモンさ。入るぜ、ルカ」
「うん!」
今日一番の返事をして、ルカはスパーダの後に続いた。
「……あ」
「どうしたの、スパーダ?」
「いや、なんでもね」