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□恋人。
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『わたしばかりズルいわ。』
彼女のセリフの意味は解ったけど、一応、『え?』とか聞き直す。
『と言っても、あなた達の場合は愚問ね。彼女、かわいいもの。全てが。』
今度のセリフも意味は解ったが、ふと彼女から見てどんな風に“かわいい”のか、聞きたくなって先を促すように彼女の顔を見る。
『ルックスはもちろんだけど、言動全てが。あなたのツボだった。違う?』
降参、とばかりにおれは両手を上げて苦笑してみせた。
さすが、解ってらっしゃる。
『わたしが説明しちゃ面白くないじゃない。』
女の子は好きだが、のろけ話ってやつはいまいち苦手で(ナミさんと付き合うようになってから気付いた事実だが)、図星だった彼女の説明により、逃れられると思っていたがそうはいかないらしい。
期待を込めたような、珍しい彼女の視線に、諦めたおれは重々しく口を開いた。
『ナミさんは……初めてだから』
『あら、意外ね。なんだかんだ言ってもモテそうなのに。』
『彼女がいたことはあるけど、今思えば恋愛に憧れてただけってゆうか、ね。』
やっぱり恥ずかしくなって、無意識に頬を掻く。
『でもナミさんに出会って、素直じゃないけどほんとは感動屋なとことか、他人に厳しそうに見えて実は自分に一番厳しいとことか、人が見てない所ではすごく優しいとことか、いろいろ見えてきて』
今までのいろんな場面を思い出す。
『命を賭けたことはあるけど、誰かのために生きたいと思ったのは初めてかな』
初めて、恋をした。
『ふふ、とんだおのろけ話ね。聞けてよかったわ。』
ロビンちゃんに言われて我に返る。
また恥ずかしくなって、苦笑した。