Main

□恋人。
2ページ/4ページ




『わたしばかりズルいわ。』


彼女のセリフの意味は解ったけど、一応、『え?』とか聞き直す。


『と言っても、あなた達の場合は愚問ね。彼女、かわいいもの。全てが。』


今度のセリフも意味は解ったが、ふと彼女から見てどんな風に“かわいい”のか、聞きたくなって先を促すように彼女の顔を見る。


『ルックスはもちろんだけど、言動全てが。あなたのツボだった。違う?』


降参、とばかりにおれは両手を上げて苦笑してみせた。

さすが、解ってらっしゃる。


『わたしが説明しちゃ面白くないじゃない。』


女の子は好きだが、のろけ話ってやつはいまいち苦手で(ナミさんと付き合うようになってから気付いた事実だが)、図星だった彼女の説明により、逃れられると思っていたがそうはいかないらしい。


期待を込めたような、珍しい彼女の視線に、諦めたおれは重々しく口を開いた。


『ナミさんは……初めてだから』


『あら、意外ね。なんだかんだ言ってもモテそうなのに。』


『彼女がいたことはあるけど、今思えば恋愛に憧れてただけってゆうか、ね。』

やっぱり恥ずかしくなって、無意識に頬を掻く。



『でもナミさんに出会って、素直じゃないけどほんとは感動屋なとことか、他人に厳しそうに見えて実は自分に一番厳しいとことか、人が見てない所ではすごく優しいとことか、いろいろ見えてきて』


今までのいろんな場面を思い出す。


『命を賭けたことはあるけど、誰かのために生きたいと思ったのは初めてかな』


初めて、恋をした。


『ふふ、とんだおのろけ話ね。聞けてよかったわ。』

ロビンちゃんに言われて我に返る。

また恥ずかしくなって、苦笑した。





次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ