Clap
□拍手C
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『いい陽気ですねぇ』
甲板で一服していると、後ろから骨が話しかけてきた。
こいつはよく、1人でいるクルーに自分から話しかけにいくことが多い気がする。
気候の話をきっかけにする辺りが年寄りくさいとは思うが、実際年寄りだから(つーか死んでるんだが)仕方ないかと、どうでもいいことを考えながら、おれは適当に返事をした。
『こんないい天気におまえと2人で船番たぁな…』
『ヨホホ…冷たいですねぇ。まぁそう言わずに、たまにはいいじゃないですか。でも、よかったんですか?』
『あ?』
『ナミさんとご一緒しなくて』
こいつはおれとナミさんが付き合っているという状況にも何故だか興味があるらしく、そのネタにもよく触れる。
『ご一緒したいのはやまやまだが、仕方ねぇだろ、今日はロビンちゃんと買い物行くって決めてたんだから。女同士の時間も彼女達にとっちゃ大事らしいからな。』
『そうですか。女性に対してはとことん紳士ですねぇ。』
そうか?とか思いながら、おれは無言で煙を空へ吐き出した。
『ナミさんとは、長いんですか?少なくともわたしが仲間入りした時には既にお付き合いしているように見えましたが…』
本当に興味があるのか、他に話すネタが無いだけなのかはわからないが、ブルックはこの話を掘り下げて聞いてくる。
『まぁな。どのくらいかは正確には覚えてねぇけど、それなりに長いかもな。』
これ以上無いぐらいいい加減な返事だと我ながら思ったが、相手は納得したように頷きながら遠くの海を眺めていた。
『それならわたしなんかがしゃしゃり出る幕も無いとは思いますが…』
含みを持った意外な言葉を続けたブルックに、おれは少し驚いて隣を見る。
『わたし、彼女に尋ねられたんですよ。内緒ですけどね。』
ドキリと心臓が僅かに跳ねた。
『男女の仲が終焉を迎えるのはどんな時かと…。』
『え』
咥えたタバコを落としそうになった。
『あ、心配しないでくださいよ?彼女はちゃんと、あなたを愛してます。あなたに愛されていることも実感している。でも、世の中の恋人達はみな、そうだったはずなのに、どうして別れてしまうことがあるのだろう、と。』
遠くを眺めたままのブルックの横顔を見て、それから同じようにおれも遠くの海を見つめた。
『…足りねぇのか?おれの…なんつーのか、気持ちの表現が。』
呟くと、ブルックは笑った。
『ヨホホッ、いやいや、あなたの愛情表現は充分すぎると思いますよ。ただね、誰でも、彼女のように考える時はあるんだと思うんですよ。だからね、お節介ながら、アドバイスさせて頂きました。』
おれはもう一度、ブルックを見た。迂闊にも、すがるような目をしてしまったかもしれないが、この際どうでもいい。こいつが何て言ったのか気になって仕方ない。
『信じていなさい、と。彼ならきっと大丈夫。あなた方はお互いに見る目がある。だから相手のことも、自分自身のことも、信用しなさい。そうすれば万が一、いつか別れが訪れてしまっても、後悔することにはなりませんよ、と。そう言ってさしあげました。』
言い終えると、ブルックはにっこりと、骨のくせに、おれに笑いかけた。
言っている意味は、まだおれにはぼんやりとしかわからなかったが、信憑性はあるように思えた。
それから、彼女を今まで以上に、(いや、今までも最高に愛していたが)改めて愛おしく感じた。
『へぇ…さすが、年の功ってか。』
『ヨホホ、そんなたいそうなものでもありませんよ。あなた方を見てるとね、応援したくなるんですよ。』
『そりゃどうも。心配されなくても、おれは彼女を手放したりしねぇよ。』
『期待してますよ』
空を仰ぎ見ると、真っ青な空に、紫煙が雲と混ざって溶けこんだ。
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サンナミ+クルーって好きです。
ブルックがかっこよくなってしまったような…
ナミさん出てこないし。
どうもいつもあたししか楽しくないもの置場になるな、ここ。(拍手お礼なのに!つかメインもだいぶ自己満だし)
毎度申し訳ない……。